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【質問2】自動車ビジネスとのシナジー効果が期待できるソニーグループのビジネスは何か?
【回答】センサー

 ソニーがスマホでAppleになれなかったように、自動車でTeslaになれない可能性も低くはない。その場合であっても、プランBとして、他のビジネスとのシナジー効果によって、グループ全体の収益力を底上げすることができる。

 自動車市場では今後、魅了することを目的とした超高級車と、配車サービス、MaaS(Mobility as a Service)によるシェアという2つのベクトルの勢いがさらに強まっていくはずだ。自動車の新車販売台数が頭打ちになっていくのは避けられず、自動車業界は必然的に、金融と保険、インフォテインメント向けのゲーム、音楽、映画などのコンテンツ、配車、メンテナンス、バッテリー交換、広告、データ収集と利活用などといった周辺業界に手を出さざるを得なくなる。逆もしかりで、周辺市場から自動車市場に攻め込むプレーヤーの出現も予言されていたわけだが、ソニーがまさに、その代表例になっている。

 EVを日本で最初に研究していた組織の一つが慶応義塾大学のチームだが、直接話を聞く機会があった。その時、「我々レベルですら、既存の部品を集めて、カーマニアがほれぼれするくらいの加速、スピードが出せるすごいクルマを作れた。産業界が本気になったらどうなるか。革命的なことが起きる」と言っていた。

 ガソリン車メーカーが蓄積してきたノウハウの多くが無駄になり、スマホやパソコンのように機構部品があれば誰でも組み立てられるようになる、というところまでは行かず、EVの部品の中にも、いくつかチョークポイントとなる部材が出てくる。その一つがセンサーである。安全運転の支援に加えて、事故が起きた時の証拠能力になるほどの、超連写ができるセンサー。これはソニーしか作れない。

 そして、当然ながら、自動車メーカーはADAS(先進運転支援システム)のシステムをより洗練させるために、自動車からあらゆるデータを吸い上げたがっており、また、自動車ビジネス以外の用途にも活用するために、自動車から位置、温度、湿度、照度、気圧などのデータを吸い上げることとなろう。

 ソニー復活の原動力の一つとなり、そして圧倒的な性能優位を保っているセンサーを、自らが自動車メーカーとなることで、より車載用途として洗練させる。それによって、デジカメでソニーがキヤノンやニコンを打ち負かした光景が、自動車でも再現できるかもしれない。もちろん、センサーでは圧倒的なシェアを持ちながら、業界でのポジション強化に結び付かなかったスマホの二の舞で終わる可能性もある。