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 2015年までのスマートフォン向けディスプレーは、有機EL(OLED)を子会社の韓国サムスンディスプレー(Samsung Display)で生産する韓国サムスン電子(Samsung Electronics)のみがOLEDを積極採用。その他のブランドはほとんどが液晶ディスプレー(LCD)であった。しかし2015年後半に、米アップル(Apple)が2017年新機種にOLEDを採用することを決めた(と判断できる事象が多くあった)辺りから、潮目が変わった。

 中国新興ブランドの中国オッポ(OPPO)や中国ビボ(Vivo)は、サムスンディスプレーのOLEDを旗艦機種で積極採用した。中国の華為技術(ファーウェイ、Huawei Technologies)や中国の小米(シャオミ、Xiaomi)も、ごく一部であるが採用した。2018年に入るとサムスンディスプレーの積極攻勢や韓国LGディスプレー(LG Display)など新規サプライヤーの台頭もあり、その採用範囲を拡大した。ソニー、米グーグル(Google)などグローバルブランドでの採用も増えている。

 2018年のスマートフォン向けOLEDパネル出荷数量は5億3000万程度と予想しており、全体の3割弱を占めるとみる(うちサムスンディスプレーが94%と圧倒的)。中国ブランドをはじめとする主要ブランドは、薄く、軽く、動画表示特性や色味も良く、将来的には曲げたり折ったりもできるOLEDの採用を増やしていく方向性、と筆者は認識している。

 興味深いのは、アップルが一気にiPhone全機種でOLEDを導入せずに、LCDと併用する戦略を採っている(軌道修正している)点である。現時点ではコスト競争力で勝り、ジャパンディスプレイやシャープ、LGディスプレーなど対アップル事業を重視し、かつLTPS液晶やIGZO液晶などの技術で優位に立つサプライヤーが存在すること、OLEDはLGディスプレーなど2番手サプライヤーの台頭がアップルの想定より遅く、サムスンディスプレーからより良い条件を引き出す状況には至っていないこと、などが背景とみられる。

 少なくとも2019年の機種はほぼ確実に、2020年もそれなりの可能性でLCD採用の新機種を投入する可能性が高いと筆者はみているが、アップルのディスプレーに対する戦略はバリューチェーンに大きな影響を与えるため、注視を続けたい。例えば2020年から全機種でOLEDを採用するなど、iPadでOLED採用を行う状況となれば、サムスンディスプレーやLGディスプレーの設備投資に対する姿勢が大きく変わる可能性もある。