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 台湾TSMC(台湾積体電路製造)は、2021年第3四半期(7~9月)の決算説明の際に、日本に新工場を建設すると表明した。みずほ証券の現時点での推測は次の通りになる。

・投資総額は7000億~8000億円で半分程度が日本政府からの補助金(出資ではない)で賄われる。補助金投入が本プロジェクト遂行の絶対条件となる。
・新会社の株主構成はTSMCが過半で、ソニーグループが2番手、トヨタ自動車やデンソー、その他日本企業も参画の可能性がある。
・新工場の場所は熊本県菊陽町のソニーグループ工場近く。
・当初の生産能力は300mmウエハー換算で5万~6万枚/月で、製造プロセスは22nm/28nmや40nmが主体になり、12nmや16nmも視野に入れる。
・量産開始は最速で2024年下半期。

(出所:123RF)
(出所:123RF)
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 新工場は最低でも10~15年は運営されることになるはずであり、一定程度の更新投資が必要である。政府補助金は1回のみである可能性が高く、台湾のような投資額に応じた所得税減税(投資減税)もないため、工場を継続して運営できる水準の収益を自力で稼ぎ続ける必要があるだろう。新工場の建屋が当初の300mmウエハー換算5万~6万枚/月ではなく、最終的に10万~12万枚/月程度への拡張余力を持った設計となることを望みたい。とにかく工場の競争力確保が重要である。

 半導体工場の運営において、建設はそれほど難しい問題ではない。ただし、建設した工場を維持していくためにはグローバル競争に勝つ必要があり、難しい問題である。特に今回の工場建設には「安定調達」を重視する側面もあるとみられる。安定調達とはコストが高いことを意味する。半導体において高コストの工場は、最終的には規模縮小や閉鎖を余儀なくされる。今後さらに次の工場建設の有無なども含め、どのようにコスト競争力を高めていくのか注目される。