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 世界的なインフレによるスマートフォン市場の苦境に反して、米Apple(アップル)の「iPhone」が快調だ。2021年の出荷台数は好調を維持しており、“ハイエンドで敵なし”の優位な立ち位置にある。ライバル不在の中国市場での再躍進が大きく効いた。

 みずほ証券では、22年もこのポジティブな状況が続くとみる。生産台数は2億4900万台、出荷台数は2億4700万台と予想する。3年連続でアウトパフォームするかたちだ。一方で、22年後半はインフレなどによる需要減退リスクへの注視が必要である。優位な立場は変わらないものの、「Appleだけは大丈夫」という保障はない。

図1  2022年のiPhone最終製品アセンブリー数量予想
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図1  2022年のiPhone最終製品アセンブリー数量予想
(出所:みずほ証券エクイティ調査部作成)

苦境をはね返す5つの強み

 スマートフォン市場は現状、苦境に立たされている。みずほ証券では、22年の出荷数量は21年と比べて0.7%減少すると想定している。背景にあるのは、世界的なインフレの影響や、景気後退などにともなう買い替え期間の長期化だ。

 このような状況にもかかわらず、iPhoneは好調だ。その理由としては、(1)ハイエンドで敵なし、(2)主要市場の需要が堅調、(3)新興国での販売比率が小さい、(4)サプライチェーンマネジメント(SCM)能力が高い、(5)機種幅の広がり――という強みが考えられる。

 まず(1)のハイエンドスマホでライバルが不在である状況が、iPhoneの販売数量を押し上げているともいえる。中国・華為技術(ファーウェイ、Huawei Technologies)は米政府による調達規制で不振の状況が続く。一方の韓国Samsung Electronics(サムスン電子)は、ハイエンド機種全体で数量を重視していない傾向にあるからだ。

 (2)としては、欧米や日本、中国といった主要市場での堅調な需要がある。中国ではファーウェイやサムスン電子と比べてアップルは独り勝ちで、シェアを伸ばしている。

 対して、アップルにとってアジアの新興国での販売比率は小さい。(3)として、このようなシェア状況が、同地域で加速するインフレ影響の防波堤となったわけだ。新興国でのペントアップ需要(景気回復にともなう需要、繰り越し需要)がインフレの影響で後ろ倒しになっており、スマホ市場全体に打撃を与えている。この悪影響を、同社は逃れられたかたちとなる。

 (4)のSCM能力は、アナログ半導体不足などによる悪影響を抑えられていることからうかがえる。多少の影響はあるものの、必要部品・部材の確保に成功しているからだ。

 最後に(5)として、ハイエンドやミドルエンドでの複数機種戦略が奏功した。「iPhone 13」シリーズの4機種に加え、「iPhone 12」や「iPhone 11」、「iPhone SE」といった展開だ。