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 米Apple(アップル)の「iPhone」が変わらず好調だ。みずほ証券の予想では、2022年のスマートフォン出荷台数は前年比5.2%減となる。対して、iPhoneシリーズは出荷台数が前年比2%増の2億4000万台、生産台数が同5%増の2億4500万台と勢いがある注)

注)台数は前回予想から微調整した。

 この状況で注目したいのが、2022年9月に発表を見込む次世代機種シリーズ「iPhone 14」の売れ行きである。みずほ証券は「iPhone 13」と比べて50~100米ドルの値上げを想定しており、最終需要に影響が出るかもしれない。景況悪化局面における値上げは、通常時より大きなリスクを伴う。

 販売数量の約1/3を占める北米は為替リスクがないが、世界的には景気が後退傾向にある。急激な円安に見舞われている日本はいうまでもなく、欧州や中国、多くの新興国は対米ドルで減価(ユーロ安、元安など)している。現地通貨での値上げ率は、米国での値上げ率を上回る可能性が高い。

 Appleはこの値上げに対応するため、「お得感」を演出する可能性がある。例えば、iPhone 14の最低価格機種において、NAND型フラッシュメモリーの搭載容量を256Gバイト(iPhone 13では128Gバイト)にするような引き上げである。

 同社はiPhone 14について、「まず作って、初動を見る」動きに出そうだ。つまり、2022年内は計画通り製造し、最終市場の初動を見る。需要が想定通りであれば、2023年度第1四半期(2022年4月~6月)も計画通りの強気の生産を維持し、下回れば2022年12月上旬ごろに第1四半期の生産計画を修正することとなるだろう。

ハイエンド重視でカメラが“売り”の戦略

 Appleの戦略は、iPhone 14でも「Pro/ProMax」のようなハイエンド機種重視である。“売り”は高感度・高精細のカメラだ。

 iPhoneでは初めて、メインカメラに4800万画素センサー(48MP、サイズは1/1.3インチ)を導入する。アプリケーションの処理を担うアプリケーションプロセッサー(AP)は「A16」チップを採用。ディスプレーも若干大きくなり、より1枚板に近いすっきりとした外見になる。フロントカメラ部分にはこれまでのノッチ(切り込み型)の代わりにパンチホール(穴型)が採用されるとみられるからである。さらにフロントカメラは、VCM(Voice Coil Motor)方式オートフォーカスアクチュエーターを搭載する。

 一方のメインストリーム機種(iPhone 14やiPhone 14 Max)は、iPhone 13とあまり変わらないとみる。カメラのアップグレードとしては、「iPhone 13 Pro Max」で採用していた1/1.6インチセンサーを搭載する。ただ、外見はiPhone 13とほぼ同じ。APも「A15」が流用されるだろう。

 これらのiPhone 13との変化点はメインカメラぐらいである。ひるがえせば、カメラを重視しない消費者はむしろiPhone 13を選ぶかもしれない。今後はiPhone 14だけでなく、iPhone 13がこうした落ち込みをどれくらい補完できるかにも注目だ。