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建築における失敗とは何なのか。雨漏りや結露などは、多くの人たちが経験してきたことだろう。それは確かに失敗だが、克服すべき課題が明らかになった、と前向きに捉えることも必要だ。「失敗したら全力で直せばいい」と語る竹原義二氏に、駆け出し時代の失敗談を聞いた。(全3回のうちの第3回)

竹原義二氏(写真:生田 将人)
竹原義二氏(写真:生田 将人)
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 「失敗談はあるか」と竹原氏に尋ねると、「たくさんある」と明言した。後ろ向きな過去の記憶というより、克服すべき課題として前向きに捉えているように感じられた。

 例えば、1988年の「石丸の家」では、大失敗をしました。ここでは、地下の一室を将来は居住スペースにつくりかえるために、いつか厨房をつくりたいということで、水だけ用意しておいてほしいと言われました。それで給水管を用意したのですが、すぐには使わないから、床下に隠しておいたんです。

 竣工してすぐに、床から水が漏れてくる、というクレームがありました。なぜこんなところから水が出るのだろうかと不思議に思いましたが、床下を調べてみたら、水たまりに給水管の蓋が浮いていたんです……。床上から圧力がかかっていたうえに、キャップの蓋のノリも十分に付いていなかったようです。すぐに復旧しました。

 また、山の斜面につくったいくつかの住宅では、地下が結露してしまいました。もちろん外断熱もしていたし、防水もしていたのですが、断熱の機能を超えて結露が出てしまったんです。壁が濡れているだけなら大きなことにならないことが多いのですが、下駄箱があると、革の靴にカビが生えるので、すぐに怒られる。みんな、カビは嫌いですから(笑)。「風通しをよくすればカビ生えませんよ」と言っても無駄です。そういうことも含めて、僕らが予想できなかったことになるので、失敗です。今は当時よりも断熱を補強しています。

 ほかにも雨漏りとか、そういう失敗は山ほどありますよ。どれほど気を付けていても、起こってしまいますから、それを一つひとつ克服し切るようにしています。石井(修)先生には、絶対手を抜かずに粘れ、と言われ続けました。やめた、と言ったら終わりですから。それは、ダメだったらやり直す、ということです。お金はかかるけど、それを事務所で賄ってでも、見落としていたところ、後から気付いたところにも、手を抜かないことが大切なのだと思います。