国内には「JAWS-UG」と呼ばれるAWSのユーザーコミュニティがあり、全国に多くの支部が存在する。参加者は必ずしもエンジニアだけでなく、営業担当者やデザイナーなども加わっている。そして、女性だけの集まりもある。こうしたことを、実際にコミュニティを運営している人から直接聞きました。さらに、企業ユーザーを対象とした新コミュニティ「E-JAWS」が立ち上がる予定であることも知りました。

 この二つの情報を得たことで、「思い切ってコミュニティに参加してみようか」という気持ちが芽生えてきました。

「偶然」を「計画された偶然」に変える

 最終的に私の背中を押したのは、キャリアコンサルタント養成講座の講義で学んだ「プランド・ハプンスタンス・セオリー」というキャリア理論でした。

 この理論を直訳すれば「計画された偶然」となります。偶然の予期せぬ出来事をあたかも計画されていたもののように捉え、キャリアの機会として利用できるように変えることが重要。それが結果的に「人生の質」を深めるものである、という考え方です。この理論を知り、「偶然の出来事を生かして、次につなげる」ことの大切さに気づかされました。

 この理論の中では、「偶然」を「プランド・ハプンスタンス(計画された偶然)」に変えるために必要な5種類のスキルを定義しています。

  1. 好奇心(Curiosity):新しい学びの機会を模索せよ
  2. 持続性(Persistence):失敗に負けずに努力し続けよ
  3. 柔軟性(Flexibility):姿勢や状況を変えよ
  4. 楽観性(Optimism):新しい機会は必ずやってきて、それを自分のものにすることができるように考えよ
  5. 冒険心(Risk-taking):結果がどうなるか見えない場合でも行動を起こせ

 この5種類のスキルを意識することで、クラウド活用についての理解が得られないというフラストレーションを抱えつつ、コミュニティ参加に対して二の足を踏んでいた自分が変わっていきました。

 「理解されないのは自分のアプローチ方法がまずいかもしれない」「苦しくても自分の直感を信じて頑張り抜こう」「怖がらずに新しい学びの機会を獲得するために、新しい場所にもどんどん飛び込もう」。こうした発想に転換できるようになり、コミュニティにも積極的に参加するようになりました。

 私がユーザーコミュニティに参加するようになって4年弱。この間、コミュニティを通じて出会った様々な人やそれをきっかけにして起こる偶然・予期せぬ出来事の積み重ねをしっかりと自分のものにするよう努めてきました。そしてそれが、自分の成長だけでなく、自社でのクラウド活用推進につながったと確信しています。

 プランド・ハプンスタンス・セオリーの提唱者であるジョン・D・クルンボルツ氏は、「個人のキャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定される」としています。変化の激しい今の時代、自分のキャリアを描こうと思っても、先を読むことは非常に難しく不安になっている読者は少なくないでしょう。しっかりとキャリアを描けている方でも、予測困難な出来事は何らか起こるはずです。

 そんなとき、今回紹介した5種類のスキル強化を意識してみてください。「偶然を自分のものにする力」が今の時代を生き抜き、自分らしいキャリアを築くための原動力になることでしょう。

多田 歩美(ただ あゆみ)
キャリアコンサルタント
多田 歩美(ただ あゆみ) 2006年、大手自動車メーカーに入社。研究領域の情報システム部門を経て、現在は本社のグローバルITインフラ戦略業務に従事。2014〜2016年には業界団体でCAE(コンピュータ支援設計)領域でのクラウド活用タスクのリーダーを務める。社外活動としてはIT勉強会に積極的に参加・主催。2016年には米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の「Community Hero」に認定される。また、個人的な生涯学習としてキャリアカウンセリングの勉強を始め、2013年にCDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)資格を取得し、2016年国家資格キャリアコンサルタントに登録(写真:菊池 くらげ)