大学でも英語には苦労しました。試験で合格点に達せず、「単位付与の保留」という状況に追い込まれたりもしました。どうにか単位は取得しましたが、私の苦手意識は決定的なものになりました。社会人生活をスタートさせたときは、自己効力感はこれ以上ないほど低い状態でした。

得意なこと、成功したことを思い出す

 そんな私が一念発起したのは2012年。この連載の初回で紹介したように、自分の将来について悩んでいたころです。私はITエンジニアとして技術を極めるよりも、自分が得意なコミュニケーション能力を生かした仕事をしたいと思うようになっていました。そのときに死角があるとすれば、言語の壁ではないかと考えたのです。

 とはいえ、苦手な英語をどう勉強すればよいのか。思い出したのが、大学時代に第二外国語として学んだ中国語の授業でした。「耳で発音を覚えてしゃべる」授業スタイルが私に合っていて、英語と違って楽しく習得できたのです。もしかしたら英語も、他人としゃべることを通じて勉強すればうまくいくかもしれない。この方法なら、得意なコミュニケーション能力も生かせるのではないか。そう考えました。

 そして私が選んだのは、Skypeを使ったオンライン英会話サービスでした。先生は全員フィリピン人で、日本語は一切通じません。とにかく英語でコミュニケーションするほかなく、「しゃべる」ことで英語力を高めるにはピッタリな方法でした。

 具体的な学習方法も、私に合っていました。「Callan Method」と呼ばれる方法で、「What's this?」のような先生からの問いかけに対して、私が「It's a table」と答える、といったやり取りを、速いスピードで徹底的に繰り返します。最初のうちはこんな単純なやり取りでも苦戦していましたが、徐々に英語を話すことが苦にならなくなっていきました。武道で「型」の稽古を重ねるようなもので、基礎力をしっかり身につけることで、実践力が養われていったのです。1冊目のテキストを終えたときには、「自分でもここまでできた」と、小さな達成感を味わいました。

 さらに学習を進めると、覚えた「型」を使って先生に簡単な質問ができるようになりました。先生が話していることをもっと理解したいという気持ちが強まり、レッスンも楽しくなっていきました。こうした授業を、月平均で22回受講。英語に触れる時間は、毎月平均550分ほどに及びました。その結果、300点台だったTOEICが、あと少しで600点に迫るところまで上達しました。