2016年4月に施行された「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)」の影響で、多くの企業が女性社員を対象にした新たな取り組みを始めています。「女性」というだけで突然スポットライトが当たってしまい、相談者のように不安や戸惑いを感じている方も多いでしょう。
私自身、女性という理由だけでどこか特別扱いされているような状況に対して、違和感を覚えることもありました。しかし、「女性活躍」が様々な多様性を受け入れるための第一歩だと捉えることで、過剰な意識は必要ないと思えるようになりました。
女性が広く活躍できる社会になることは、今まで当たり前とされてきた考え方や価値観以外のものを受け入れられる状態を作ることにほかなりません。性別をはじめ、人種や国籍、宗教、病歴などの違いを受け入れ、それぞれの個性や価値観を生かすという多様性(ダイバーシティ)の実現に近づくのです。
少子化が進む日本にとって、今後、多様性への対応はますます重要になります。多様性確保には息の長い取り組みが必要ですが、その最初の一歩として、女性が活躍できる環境作りを進めている。そう捉えると、違和感が少し解消されるのではないでしょうか。
私自身も自社で、多様性推進のための自主活動に携わっています。この活動のきっかけも、女性活躍施策の一環で開催されたセミナーでした。同業他社のIT部門に所属する女性が集まり、各社の制度や取り組みの状況を話し合いました。
そこでは、女性活躍をはじめとした多様性推進が進んでいる会社の事例を聞くことができました。先進的な企業でも、制度の浸透には多くの時間が掛かったといいます。マイノリティ(少数派)に対して制度を適用するだけでなく、マジョリティ(多数派)側がそれを受け入れ、理解できるような制度設計や工夫が必要であることも知りました。こうした学びが、自社内での多様性推進活動の発足につながりました。