当初から活動のテーマは、女性だけに限らず「現時点では一般的でないと捉えられている価値観を許容し、それを生かすためにどうしたらよいか」としていました。しかし初期の中心メンバーが女性だけだったこともあり、多様性とうたいながらも結局は女性のための活動ではないかとの誤解を受けるなど、周囲の理解を得るのは簡単ではありませんでした。それでも、旬な情報を集めたニュースの発信や他社交流会、アンケート、社内イベントなど、地道な活動を続けてきました。それが実を結び、少しずつ認知度が上がってきています。今では、男性も中心メンバーに加わって活動しています。

内的キャリアを大切にする

 最後に、今回の悩みごとにあった「この先の働き方に対する不安」についても考えてみましょう。これは、今後のキャリアに対する不安と言い換えられます。

 キャリアには、「外的キャリア」「内的キャリア」の2種類があります。職務経歴や役職、資格など、「キャリア」と聞いて多くの人がイメージするものは外的キャリアに分類されます。

 一方の内的キャリアは、他人からは一見分からない、自分にとっての働く意味や価値観、捉え方を指します。なぜその職種、会社を選ぶのかといった動機や理由にもつながるものです。環境によって大きく影響を受けるため、時とともに変化することも内的キャリアの特徴です。

 今回の相談者は、管理職という外的キャリアの構築に向けたステップを描かなければいけないプレッシャーにとらわれているために、今後の自分自身の働き方に不安を感じていると考えられます。不安を解消するには、内的キャリアに目を向けてみることをお勧めします。

 自分はどんなときに働きがいを感じるのか、生きていく上で働くことをどう捉えているのか、そもそもどのような人生を送りたいのか。こうした問いを通じて、自分自身の内的キャリアとして築きたいもの、大切にしたい生き方や価値観を理解します。こうした内的キャリアを満たすことを目指して仕事を続け、その結果として外的キャリアが構築されていくようなイメージを描けると、気持ちが落ち着いてくるでしょう。

 女性活躍推進をはじめとした会社の施策に振り回されないためにも、まずは自分自身が仕事をする意義、生きる意味を改めて考えてみましょう。こうして内的キャリアを深掘りする機会を積極的に持つことで、自分が何を目指して仕事をすべきかが理解できるはずです。

多田 歩美(ただ あゆみ)
キャリアコンサルタント
多田 歩美(ただ あゆみ) 2006年、大手自動車メーカーに入社。研究領域の情報システム部門を経て、現在は本社のグローバルITインフラ戦略業務に従事。2014〜2016年には業界団体でCAE(コンピュータ支援設計)領域でのクラウド活用タスクのリーダーを務める。社外活動としてはIT勉強会に積極的に参加・主催。2016年には米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の「Community Hero」に認定される。また、個人的な生涯学習としてキャリアカウンセリングの勉強を始め、2013年にCDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)資格を取得し、2016年国家資格キャリアコンサルタントに登録(写真:菊池 くらげ)