実は、私自身、相談者と似たような状況に置かれた経験があります。周囲にいらだちを覚え、そのほかにもいろいろな不満が重なっていました。まさに爆発寸前という状況で、辞めるべきか否かを真剣に検討しました。
そのときに私がしたのは、今自分が置かれている状況を書いてみることでした。具体的には、次のような内容を書き出しました。
- 不満に感じていること
- 不満の理由や原因
- 自分がその原因を解消するためにできること
- 自分が仕事を通じて成し遂げたいこと
- 自分が働く上で大切にしたいこと
これらを書き出しておくことは、辞めるかどうかの判断だけでなく、転職先の条件を見出すため、そして新しい職場で同じ不満を持たないためにも、重要なポイントになると考えていました。実際、この作業を通じて、今自分が不満に思っている状況を客観的に、そして冷静に見つめ直すことができました。そして、自分が採れる選択肢を複数見つけることができました。
この選択肢の中から私が出した結論は、「今は辞めるべきではない」というものでした。悩んで、悩んで、全てを書き出した結果、自分自身のやりたいことがよりクリアになりました。同時に、まだやり切っていない部分を見つけ、今辞めたのでは後悔が残りそうだと気づいたのです。
こうした悩みの答えには、正解も不正解もありません。つまり、正解の選択肢を「探す」のではなく、「決める」必要があるのです。私の場合は、「どうせ辞めるなら、我慢などせずに、自分がこうだと思ったこと全部にチャレンジしてから辞めよう」と決めました。このチャレンジができない状況になるか、やりきった上で次に移ろうという、辞める上での基準を明確に定めたともいえます。
「会社を辞めたい」はチャンス
「会社を辞めたい」との悩みは後ろ向きなことに思われがちですが、実は悩んだときこそがチャンスです。今いる環境で自分ができることはないのか、自分は何を成し遂げたいのか、自分にとっての働く意義はなんなのか。しっかりと自分自身の気持ちと向き合い、この先進むべき道を選択してください。
このチャンスのタイミングで、安楽の欲求に流されないように気を付けましょう。「自分だけが頑張るなんてバカバカしい」「それなりに働いていれば給料も入るし、とりあえずここにいればいい」「悪いのは環境や周囲の人だから、とにかくここを辞めれば何かが変わる」などと考えてしまったら最後です。そのまま思考停止状態に陥り、相談者が指摘する「働かないおっさん」予備軍になってしまうでしょう。