アクセンチュアは、2018年東京・麻布にコラボレーションのための拠点を開設した。新たな事業の立ち上げを念頭に置いた施設で、主にデザイナーやデータサイエンティストが勤務。顧客企業にも入居してもらい、同じ拠点内で共に創リ上げていくという新形態を採用している。
アクセンチュアは、世界的規模の総合コンサルティング企業だ。日本法人の売上高はここ数年で大きく増加しており、国内IT分野での存在感も年々増してきている。
同社は2018年1月に、東京・港区にあるビルの2フロアに、「アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京(AIT)」を開設した。目的は、顧客企業とのコラボレーションで、新たな事業やサービスを生み出していくことだ。
オフィススペースには、主にデータサイエンティストやデザイナーなどのエキスパートが勤務している。海外の拠点や顧客企業と連携して、新しいアイデアを短期間で形あるものにしていく。一般的に、コンサルティング会社が得意なのは、既存の事業や業務を分析してコスト構造や効率を改善することだが、AITはそれとは異なる目的で設けられた。
内装デザイン構想は、保科学世マネジング・ディレクター、アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京共同統括が中心となり、設計事務所とタッグを組んで、半年以上かけて作り上げた。
AITは、ビルの8階と9階の2フロアにわたって展開されているが、各フロアには明確な特徴があり、雰囲気も異なる。
8階のテーマは「THE HUB」(日本語では界隈)。この拠点がある麻布十番は夏祭りが有名で、それを参考にしたという。お祭りは、さまざまな場所から普段は会わないような人々が集まり、不意に出会うことで、新しいものが生まれることの象徴でもある。
広場をイメージしたフロアには、櫓(やぐら)をモチーフにしたモニュメントが設置されている。その周りには、屋台に模した先端技術のデモが展示してある。展示内容は、どんなプロジェクトが進行しているか、などの要素により随時入れ替わる。そして先端技術のデモなどに触れて新たな着想を得て、協創エリアで共同でサービスやソリューションを開発していく。顧客企業は最大8社まで同時に入居できる。数カ月間単位で常駐するケースが多い。
そのほか、マルチスクリーンや演台があり、椅子を並べれば、イベント、勉強会などを開催できる。専門家によるワークショップが、定期的に開かれているという。