Q.ソフト開発会社に勤務しています。最近、うちの会社でも外国人SEの採用を始めました。ところが彼らの一部に「なぜ厚生年金に入る必要があるのか」などと反発し、トラブルになるケースが出て困っています。どのように説明すれば、外国人に納得してもらえるのでしょうか。
確かに社会保険、特に厚生年金に加入したくないという外国人がいます。しかし、外国人であっても日本人と様に、社会保険に加入しなければなりません。厚生年金と健康保険は「セット加入」が原則です。厚生年金だけ加入しないという選択はありません。
もっとも、日本と「社会保障協定」を結んでいる国の出身者であれば、本国に戻っても掛けた保険料がムダにならず、本国の年金として適用されます。これは国同士で協定を結び、相互で年金を保障する制度です。
また、帰国する際に脱退一時金の支給制度もあります。会社は、このあたりの事情を説明して理解してもらうのがよいでしょう。
ただし、留学生の場合は扱いが異なります。留学生本人は自分で国民健康保険や国民年金(学生特例あり)の加入が必要です。上記で説明した社会保険とは異なるので注意してください。
口頭での説明はトラブルのもと
外国人を雇用する場合は、文化の違いがあることを認識しましょう。曖昧な日本的表現で「言った」「言わない」でトラブルになるケースが少なくありません。日本語の特徴でしょうか。特に給与の話をするときに「数カ月後に見直すから」と回りくどい表現をして結論が不明瞭になる場合が多くあります。「いつ、どのくらい給与が上がるのか」と聞かれます。
労働条件については、労働契約書や労働条件通知書といった書面での提示が求められます。口頭での説明は極力避け、補足事項については明確に説明するよう心掛けてください。
できれば契約書類には外国語(母国語)の説明を併記するほうがよいでしょう。最低でも英語は記載すべきです。特に基本給や時給、会社任意で控除される項目などについては、誤解を生じるケースがあるので、明確にしておかなければなりません。