Q.中堅ITベンダーでプロジェクトマネジャー(プロマネ)を務めています。あるとき普段から問題がある部下に注意喚起したところ、私を激怒させる言葉が飛び出し、つい怒鳴ってしまいました。ところがその部下は一部始終を録音しており、それを会社に報告されてしまいました。怒りが収まりません。やり方が汚い部下の行動は問題にならないのでしょうか。
わざと怒らせるような言葉に乗ってしまい、激怒するケースはあるでしょう。特に50代の「おっさん世代」は気を付けるべきです。60・70代の先輩や上司から強く叱責されて仕事をこなしてきた世代であり、同じような行動を後輩や部下に取ってしまいがちです。
今の50代は、巨人の星やあしたのジョー、タイガーマスクといった「根性もの」のアニメを見て育った世代です。根性なしと言われるのが嫌な世代でもあります。それでも職場でかつてのアニメのように怒鳴るとパワハラとみなされてしまいます。あくまで冷静になることが肝要です。
隠れて録音するのは問題ではないのか
では、質問者が汚いやり方と表現する「隠れて録音すること」は問題にならないのでしょうか。結論からいうと、職場のハラスメント行為を明らかにする目的であり、問題にはなりません。
そもそも会社と社員で立場的に弱いのは社員です。世の中には悲しいことにブラックな会社が存在します。このブラックな会社は常識が通用しないので、弱い立場の社員が証拠を残そうとするのは当然です。したがって、社員が隠れて証拠を記録していたとしても、それが正当化されるのです。
例えばよく問題になるのが、未払い残業です。本当に仕事をしているのに残業代が払われず、なおかつタイムレコーダーもないならまずは証拠を残す必要があります。毎日の帰宅時刻をメモする、帰り際に自分宛てにメールする、交通系ICカードの記録を保存する、といった方法を自ら取るしかありません。これと同様に、社員がパワハラの証拠として記録を残すのは当然の行為でしょう。
客観的証拠はとても重要です。それが会話上で行われるパワハラなどは録音という手段になります。他人の会話を盗み聞きしているのではなく、弱い立場の社員が自分自身との会話を録音する行為なのです。