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Q.部下のSEを指導中に「つらい。パワハラだ。労災で休みたい」と言われました。もちろん私は言葉に気を付けて話していましたし、周りの社員も叱られるほうに非があり乱暴な指導ではなかったと言っています。そもそも「叱る=労災」になるのでしょうか。逆に脅されているようで、パワハラと訴えられて窮地に立たされています。

 「パワハラ(パワーハラスメント)」は法的には明文化されていませんが、一般に使われ誰もが意識するようになりました。ニュースで取り上げられることが多く、「叱りにくくなった」という話を耳にします。しかし、人に迷惑をかける行為などは、当然叱って指導すべきです。

 例えば、ユーザーとの約束をすっぽかした、納期限に間に合わないと分かっていたのに報告しなかった、トラブルになる可能性がある不具合について相談しなかった、などの行為は叱って当然です。

労災請求申請は簡単に認定されるものではない

 ハラスメントなどに起因する精神障害の労災(労働災害)請求申請の件数は、見方によって「多い」「少ない」が分かれると思います。2017年度の請求件数は1732件、うち認定件数は506件でした。その中で自殺関係の請求は221件、うち認定は98件です。精神障害の労災は30%程度が認定されている状況です。

 労災請求申請は、簡単に認定されるものではありません。特に精神障害は仕事上の原因とは限らないからです。認定に当たっては、借金や離別などの個人的な事情も調査されるので時間がかかります。労災認定では業務起因性が必要で、仕事関係上でのパワハラ、セクハラや長時間残業などが原因だという事実が必要です。

 労災に認定されると、企業の責任問題になるばかりでなく、社会的なイメージも傷つきます。日ごろからパワハラやセクハラのない職場作りが肝心です。

パワハラの類型

 では、質問者のケースはパワハラに当たるのでしょうか。厚生労働省はパワハラを大きく6つの類型に分けて注意喚起を行っています。

  • 身体的な攻撃
  • 精神的な攻撃
  • 人間関係からの切り離し
  • 個の侵害
  • 過大な要求
  • 過小な要求

 身体的な攻撃は暴力、精神的な攻撃は暴言や侮辱、人間関係からの切り離しは無視、個の侵害は仕事に関係ないプライベートなことに深入りすることなどを指し、当然NGです。また、過大な要求は不可能な業務の強制、過小な要求は低レベルの業務の強制です。これらは育成目的で上位の仕事にチャレンジさせたり、多忙な社員の手伝いをさせたりする場合はOKですが、嫌がらせで行わせるのはNGとなります。

 まずは質問者の行動が上記の6項目に該当しないかどうかを確認してください。