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Q. メーカー勤務のスタッフ職です。東京の本社勤務から地方の工場に転勤となり現業部門に配属となりました。1日の勤務時間は本社では7時間45分でしたが、工場では8時間になります。毎日15分損しているとしか思えません。おかしくないでしょうか。

 本社や支店、工場や研究所などの事業所単位で勤務時間が少し異なる場合があります。1日の勤務時間だけでなく、始業や終業の時刻、休憩時間帯などが異なることもあります。

 質問のケースである勤務時間については、きちんと計算すると、今までと年間の労働時間は変わらないかもしれません。つまり、工場の休日のほうが本社のそれより多い可能性があるということです。まずは年間トータルでの労働時間を確認しましょう。損をしていないかもしれません。

勤務形態は事業所ごとに決まる

 労働日数や時間、休憩時間帯は事業所で異なることがあります。本社と工場で仕事内容が異なるように就業条件も違うのです。例えば、本社は通常勤務で毎日の始業と終業時刻が決まっている、工場は3交代制のシフト勤務であるなどです。現実的に、転勤がなければ他事業所のことは分かりませんが、質問者のように転勤になって初めて気づくことが多いのです。

 事業所による違いがある場合は、会社は異動者に対して転勤先の部署や担当業務についてだけでなく、勤務条件の説明も必要です。説明は転勤になったときだけでなく、入社時にも転勤の可能性に言及しておかなくてはなりません。採用時に転勤の可能性を伝え、質問のケースのように勤務形態が変わる場合のことも周知しておく必要があります。特に転勤が多い会社は、採用時のみでなく普段から社員に周知しておくことが望ましいでしょう。具体的には労働契約書や就業規則に明示しておくことが必要になります。

本当に損しているのか

 事業所ごとに勤務形態が変わっても違法ではありません。しかし、転勤が多い会社で勤務時間が異なる場合は、社員に損得感が出てくるのも事実です。不公平だ、異動前より損をしていると申し出る社員がいることは明白です。事業所間で勤務条件が異なると、社員は「損をしている」「得をしている」と考えてしまうからです。筆者の顧客にも冒頭の質問者と同様の訴えがあります。