Q. 自宅でテレワーク中の25歳プログラマーです。会社は自宅での勤務時間を算定できないとのことで、みなし労働時間制です。定時以降に働いても残業手当はありません。出社したほうが得です。どうすれば自宅でも残業として認めてもらえるでしょうか?
質問者の会社は、「事業場外みなし労働時間制」を採用しているとのこと。簡単に言うと、この制度を適用するには、自宅勤務者は会社と通信オフで放任状態になっている必要があります。
IT企業ではシステム開発や社内業務をクラウド環境で行っていると思います。シンクライアント端末の利用が多いので当然です。つまり常に通信オンなのです。チャットツールのMicrosoft TeamsやZoomなどを使って開催するWeb会議も、電話をかける感覚でできるようになってきました。ビジネスチャットを活用し、指示や連絡を取っているような環境下では、事業場外みなし労働時間制の導入はできません。
なお、上司はチャットなどで頻繁に後付け指示を出し続けるとうっとうしいと思われるので、ポイントを整理して指示したいものです。
無条件に「事業場外みなし労働時間制」を適用できない
事業場外みなし労働時間制は、社員が社外(自宅)にいるので勤務時間の把握が困難だとして一定時間を勤務したとみなす方式です。多くの企業では、一定の時間を所定労働時間(1日の労働時間)と同じにしています。
1日8時間労働の会社がみなし労働時間を9時間と設定したのなら、毎日自動的に1時間の残業をしたことになります。しかし多くの会社は、みなし労働時間を8時間と設定するので残業がつかないのです。
ただし、事業場外みなし労働時間制を導入するには適用条件があります。会社が自宅勤務者と通信オンの状態であり、業務上の指示や連絡を行っているのであれば認められません。
質問者は、この適用条件を確認してください。間違っているようなら会社と交渉してみてはいかがでしょうか。それでも残業手当を出すことを拒否するようであれば、労働基準監督署への相談を考えてもよいかもしれません。