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Q. プログラマーです。仕事は早いほうです。仕事を終えたと上司に言うと、他の担当者の遅れているプログラム製造が割り当てられます。仕事が増えるのでばかみたいです。だらだら仕事しているほうが残業もついて給与が増えます。プログラム製造数の成果で給与を決めてほしいです。

 成果で給与を決めてほしいとのこと。年1回の昇給は微増なので、優秀な社員からみると恩恵を感じないのでしょう。システム開発において、特にプログラム製造は社員個々の進捗がよく分かります。能力によって製造本数や品質に差が生じるのが明確です。

 同じような相談が経営者側からもあります。プログラムの生産性が低い社員ほど残業時間が多くなり給与が増える、成果での給与(成果給)にできないのかといった内容です。

 社員も経営者も同じ悩みを共有しているようですが、労働時間の考慮は必須です。時間に制約されない社員には、管理職や高度プロフェッショナル制度適用者がいます。高度プロフェッショナル制度には年収が1075万円以上で高度専門職という条件があります。一般的になかなか届かない賃金水準であり、給与支給の議論に含めるのは現実的ではありません。

勤務時間にとらわれない成果給の導入は不可能

 結論を言えば、日本では完全な成果型の給与支給は難しいです。社員を保護する労働基準法や最低賃金法などの法律が時間軸になっており、成果を出さなくとも労働時間に比例して給与は上がります。労働時間に関係なく完全な成果給とすることは不可能です。

 同程度の製造ノルマを複数のプログラマーに課した場合、優秀な社員ほど短い時間で品質の高いプログラムを作ります。そして、質問のケースのように、遅れが生じている担当者分がリスケジュールされます。同程度の給与ならばからしくなるのは当然かもしれません。

 なお、労働基準法で保護されているのは給与です。会社側は、社員がそれと分かるように、賞与に成果分をより濃く反映させてはいかがでしょうか。賞与は業績だと言いながら、反映されているのかいないのか曖昧がゆえに、社員から不満が出るのです。