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Q. IT企業の中堅SEです。顧客から受信したメールを引用して、部下に指示メールを送ったつもりでした。ところが、顧客に送っていたことが後日発覚。自宅で夜中に飲酒しながらの送信ミスでした。上司から減給は覚悟しておけと怒られています。自分が悪いとはいえそこまで厳しく言われるのはおかしいと思います。

 メールの誤送信はよくあります。質問のように送信先を間違った、あるいは送信先は正しいが添付ファイルを間違ったなどの類似の相談を受けることがあります。

 特に酒酔い状態でのメール送信は間違いが起こりやすいです。過激な文章にもなりやすくトラブルに発展することもあります。飲酒時のメールはやめるべきです。コロナ禍で自宅勤務の社員が増えたので、飲酒しながらのテレワークは意外とあるのかもしれません。

 質問のケースは、すぐに上司が知る状況になかったようなので、メールの「CC」欄に上司や同僚を入れていなかったのでしょう。

単独での送信は問題発見が遅れる

 社外への送信メールについて、会社は、重要なメールに関する問題の早期発見や情報共有のためCCで上司や同僚へも送付するように指導したほうがよいかもしれません。プロジェクトなど複数人が関わったり、個人情報を扱ったりする場合は特にそうです。

 ただ、社員数が多くなるとメールの重要度で問題を切り分けることは困難です。可能ならCCのない単独でのメールは送信できない、あるいはCCのメンバーを自動で付加する仕組みにする。セキュリティー上の観点から、フリーアドレスや不許可のドメイン(会社)へのメール送信を禁止するなどの対策を取ったほうがよいでしょう。

 誤送信ではなく、意図的に同業他社に資料を送付して問題になった社員についての相談もありました。他の資料送信の疑いもあり、会社は、この社員によるメールの送信履歴や社内サーバーからのダウンロード履歴までチェックしました。これらも上司へのCCメール送信が前提なら防げたはずです。

 一方、社員は、会社がメールを調査することがあると知っておくべきです。調査があると意識すると、不適切な送信も含めて単なる誤操作によるミスは少なくなるかもしれません。

 筆者の事務所は、代行で社会保険手続きを行っているので、顧客の社員情報を取り扱います。メール送信時の画面確認による送信先や添付ファイルのチェックは当然ですが、メール本文内にもチェック欄を設けています。個人情報が含まれるメールは2人で送信先や内容、添付ファイルを確認することを義務付けているので、事務所内では時折メール確認の声が聞こえます。さらにメールにCCを付けて共有することで、誤りがあれば早期発見できるようにしています。

 会社によって誤送信対策の投資額は異なりますが、会社がメールの誤送信に非常に敏感になっていると社員に分かるように注意喚起を含めて、できる限りの対策を講じるべきです。