Q. 60歳で定年退職後に再雇用されたSEです。再雇用後は、見積書や設計書のレビュー会議の段取りや議事録作成を行っています。顧客先に行くこともなく残業もありません。体は楽ですが、名ばかりSEです。雇用延長という考え方から、定年前と同じ仕事をさせてもらう権利はないのでしょうか。
会社は65歳まで社員が働けるようにする義務があります。残念ながら再雇用において従前と同じ業務内容や勤務条件にすることまで求められていません。再雇用制度では60歳で一旦退職して、再び同じ会社やグループ会社に就職(再雇用)することになります。新たな労働条件に同意して働く制度です。
質問者は雇用延長により作業内容が継続するイメージで考えていたのなら、認識を変える必要があります。再雇用後に就く仕事が嫌なら、思い切って辞めるしかないかもしれません。その前に一度、会社側に相談してはいかがでしょうか。言うまでもありませんが、会社は嫌がらせで特定社員の処遇を決めてはいけません。
60歳からは新たな労働条件での勤務になる
60歳で定年退職する会社が一般的です。その後は再雇用で継続して働く、あるいは転職する、引退するなどの選択肢があります。年金の支給開始年齢は、昔は60歳でしたが今は原則65歳からなので、生活面から再雇用勤務を選択する社員が多いです。
雇用延長については65歳までの「努力義務」が2013年に「義務」に変わりました。60歳以降で働けなくなると、年金支給開始まで無年金で生活できないからです。
なお、高年齢者雇用安定法の改正で2021年4月から70歳までの雇用延長が努力義務として会社に課せられます。65歳までの雇用延長のときと同様、会社にとっては努力義務からのスタートですが、70歳までの雇用延長を考えていく必要があります。将来、年金の支給開始年齢は70歳になるのかもしれません。
再雇用制度では、定年退職して新たな労働契約を結び雇用関係がスタートします。賃金など労働条件が変わりますが、有給休暇については例外です。現実には雇用が継続していますので、有給休暇はゼロリセットにはなりません。
日本は高齢化がどんどん進んでいます。企業も同じです。70歳まで働ける環境になると再雇用者はもっと増えていきますので、こうした人たちがやる気を失っては困ります。