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Q.中堅のソフトウエア会社に勤務しています。プロジェクトが終了したので、多忙な日々から一息ついています。「今の暇なときに有給休暇を取りなさい」と上司から命令のように言われます。先々に長期休暇を取る予定があるのに、今、休暇を取れと強制されるのは理不尽です。

 上司が強制で部下に休暇を取得させることはできません。多忙な時期を終えたことで休むようにと気遣っていたとしても、言い方がまずいです。命令口調はいただけません。

 「暇だから」「仕事がないから」ということで、有給休暇を取らせておきたいと考える会社があっても不思議ではありません。業種によりますが、コロナ禍の影響で時間が空いたという会社にも類似するケースがあるのではないでしょうか。

有給休暇の取得は命令できない

 2019年4月から、年5日間の有給休暇の取得が義務化されました。さらに有給休暇の取得率を上げて働きやすい職場にしようという動きも活発です。有給休暇を取りやすい職場にするのは、とても喜ばしいことです。

 会社が計画的に有給休暇を取得する日を、あらかじめ指定することは可能です。これを計画的付与といいます。例えば夏休みとして連続5日の有給休暇を取得させるような場合です。土日併せると9連休になります。「今年の大企業の夏休みは○連休」と話題になることがありますが、実態は有給休暇だという会社もあります。

 しかし、現場の上司が思いつきで部下に強制的に休暇を取得させることはできません。本来、有給休暇は本人の意思で自由に取得できるものだからです。言い方やその場の雰囲気にもよりますが、命令口調であれば問題です。奨励するのはよいとして「暇だから取得しろ」みたいなニュアンスの表現はよくありません。

暇だからと強制的に休ませた場合は

 会社が強制的に休ませた場合は、「休業」になります。会社命令による休業になりますので、社員には休業手当を支給する必要があります。有給休暇の取得ではないということです。

 ただし、年5日間の有給休暇取得という義務があっても、1年間で5日を消化できそうにない社員がいるかもしれません。取っていない社員がいると法令違反になります。