Q.38歳のSEです。ストレスチェックを受けたところ、産業医の先生から「結果を会社に知らせてはどうか」とアドバイスがありました。仕事のストレスがたまっているようです。本番を迎えた顧客のシステムトラブルや、現在対応しているプロジェクト開発が遅れ気味という状況で、長時間残業が続いていました。会社に知らせるに当たって、先生は、意見も添えてくれるとのこと。会社に自分の状態を知っておいてもらうのがよいのか、悩んでいます。
システム開発を行うITエンジニアは、残業が多いです。プロジェクト終了で本番稼働しても、システム不具合による対応があります。保守と現在進行中の開発作業を併せて、長時間残業が続く経験をした社員は多いでしょう。ストレスがたまりやすい職種かもしれません。
ストレスチェックの結果は、本人同意がなければ会社が知ることはできません。会社は結果を確認できないのです。そのため、ストレスチェックの結果分析も産業医や外部機関に任せています。例えば事業部や部門別での集計分析などです。
質問者のケースは、2つの背景が考えられます。1つめは、長時間残業続きによる健康配慮面で行う、産業医との面談です。そのときにストレスチェック結果を伝え相談したことで、今回の産業医のアドバイスがあったとすると、会社へのストレスチェック結果の提供に同意していない状態です。
2つめは、高ストレスによる面談指導の対象者になり、判定結果から本人が希望して産業医と面談を行っているときです。この場合は、面談の申し出とストレスチェック結果の提供に同意していることになります。「すでに」結果提供に同意していることに注意してください。
「結果を会社に知らせてはどうか」という産業医の発言から、1つめに相当するケースだと考えられます。
自分から言わないと会社は知ることができない
いずれにせよ、ストレスチェック結果を確認してほしいと本人が言って初めて会社側に伝わるという点について、筆者は、この制度に矛盾を感じます。会社がストレスチェックの結果を確認できないので、社員の健康面の配慮ができないという話を聞くことがあります。
質問者は、会社が結果を知ることで、自身に不利益を与える恐れがあるのではと危惧されたのでしょうか。ストレスチェックの結果で不利益になることはありません。本人の同意も得ずに、結果を知るような常識感覚が欠如したブラック企業ではあるのかもしれませんが、筆者が知る限りでは聞いたことはありません。
ストレスチェックの運用については、社会全体がちょっと神経質になりすぎていると筆者は思います。一方で、健康診断の結果については、会社が確認できます。産業医の意見を参考にして、体調が芳しくない社員について残業削減など会社が自発的に対処できます。
健康診断は昔からあるもので、昭和か平成かといった法令成立の時代差かもしれません。筆者は、ストレスチェックの結果より健康診断の結果を見られるほうが嫌だと思いますが、いかがでしょうか。
仕事だけでなくプライベートも含めて誰もがストレスを抱えていると思います。ストレスがあることを気にする必要はありません。
産業医が「会社側にストレスチェックの結果を知っておいてもらっては」とアドバイスしたのなら、この際、会社に自らの状態を知っておいてもらったほうがよいでしょう。産業医の勧めがなくとも自発的に進言してもかまいません。