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Q.メーカー勤務の社内SE(課長職)です。定期健康診断の受診日や時間帯のスケジュール通知がありました。部門別でしたが職種には関係なく、すべての社員へ通知があります。私は健診を受けたくありません。管理職になり、自分の健康は自分で管理すべきだと思うからです。どうしても受けなければならないのなら、自分のかかりつけの病院で受けたいです。

 会社目線で見ると「受診したくない」という社員をフォローするのは面倒です。「だったら受けなくていい」と言いたいところでしょう。そうできないのは、法令で健康診断の受診が義務付けられているからです。

 SEやプログラマーは残業の多い職種で、不健康な生活になりがちです。会社が健診を行ってくれるのですから、ご自身のために嫌がらずに受けてください。管理職は部下に「受けなさい」と言う立場になりますので、なおさらです。

受診は命令、拒否できない

 会社には社員に対し、定期健康診断を受けさせる義務があります。つまり、社員に受診しなさいと命令しているのです。質問者は定期健康診断の受診を拒否することはできません。

 大企業や社員数が多い事業所では、社内の健康管理室で実施する、定期健康診断の車両が来て実施するなどの集団健診を行っていると思います。他には会社指定の病院を選択して受診する、社員各自に任せて健診結果を提出してもらうなどさまざまです。

 質問者は集団健診のようです。会社の指定する候補予定日・時間帯で、就業時間中に受けることができます。受診時間を勤務扱いにすることまでは法令では求められていませんが、就業時間に設定している会社が多いです。社員は受診するだけで、料金の支払いもありません。

別の病院での受診を可とする会社も

 集団健診をしている、あるいは会社指定の病院があるのに、別の病院で受診したいと申し出る社員がいます。質問者のケースと同じです。別の病院で受診することを、ルールを決めて認めている会社もあります。会社側は、個人的に別の病院での受診を可とするのであれば、受診日の勤務扱いや交通費、受診料などについてルールを定めてから運用してください。

 ルールもなく「受診していい、ただし健康診断の結果は提出のこと」と個人に認めてしまった場合はトラブルになることがあります。筆者の経験だけでも、受診時間や病院への往復時間の取り扱い、受診料について、会社の担当者から多数の相談がありました。

 個人的に受診するとなると、社外になり時間も交通費もかかります。受診料の立て替え払いや清算事務も発生します。定期健康診断の検査項目以外のオプション検査をして請求してくる社員もいます。受診料については会社の負担限度額を決めておけば、会社・社員双方に明確でしょう。ルールを設定してトラブルにならないようにしておく必要があります。

 社内施設や健診車両、会社近くの病院での受診などは離席時間も短く、交通費もかかりません。社員は会社の指示通りに健診を受けるようにしてください。

 定期健康診断の他、特殊健康診断というものもあります。過酷な屋外環境での作業や、放射線、有機溶剤、特定の化学物質を取り扱うなどの有害業務に就く社員に対して別途行うもので、就業時間中に実施します。時間外や休日などに実施すれば、その時間分の賃金を支払う必要があります。社員の希望による別の病院での受診を認めた場合も勤務時間扱いになります。