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Q.メーカー勤務でプロジェクトマネジャーを務めています。当社ではテレワーク社員とのオンライン会議で、顔出しは任意としています。ほとんどの社員は自分の映像をオフにして、顔を見せません。せめて発言のときぐらいは顔出しさせたいです。

 顔出しを任意にしている企業は多いように思います。筆者は、顧客企業において新入社員や管理職向けなどのオンライン研修で講師をすることが多いです。その際は、なるべく顔出しをお願いしています。講義しながら質問するのですが、返事がないこともあります。発言者としては相手の顔が見えないと、離席なのか聞こえていないのかが分かりません。

顔出しをテレワークの申請条件にしても可

 会議での顔出しを必須にしてよいのでしょうか。就業時間中のことなので、顔出しをルール化しても問題ありません。表情やジェスチャーで相手の意を察することができます。

 今はコロナ禍の状況にあるため、会社の要請でいやいやテレワークをしている社員もいます。自宅で服装も髪も整えていない場合は、顔出しがあると、格好も気になるでしょう。オンラインで顔出しするくらいなら、会社に行きたいという社員もいるかもしれません。そういった事情に対する考慮が必要な時期かもしれません。

 アフターコロナになれば都度申請方式でのテレワーク運用に戻す企業も多いはずです。顔出しを申請条件にすることも可能です。

 都度申請方式によるテレワークは、自らの希望で有給休暇を取得するイメージです。有給休暇との違いは、テレワークは会社が任意に導入している制度なので却下されることもあるという点です。

 一方、部下による有給休暇の申請を上司は却下できません。取得する日を変えてほしい(時季変更権)ということを言えますが、会社や事業部などの大きな組織の単位で困るぐらいのレベルが必要です。時季変更権の行使はハードルが高いのです。

リモートハラスメントには要注意

 テレワークをする職場が増え、「リモートハラスメント」という言葉も生まれています。リモート環境で起こるハラスメントのことです。

 多人数での会議や研修時にハラスメント行為をする社員は少ないはずです。「今まさにハラスメントが行われている」という事実を誰もが目撃できる環境だからです。筆者に寄せられるセクシュアルハラスメント相談では、上司が特定の部下にこっそりとそうした行為をしていることが多いです。公の場では起こりにくいものです。

 同じことがリモート環境でも起こります。個人指導や面接などは1対1なのでリモート上に他の社員がいません。社内でいうと、周りに他の社員がいなくて2人きりという状況です。自宅にいることで、上司もつい気を緩めてハラスメントと取れる発言をしてしまうのかもしれません。