Q.システムエンジニアです。勤務日の半分ぐらいはテレワークで自宅にいます。上司はほぼ毎日出社しています。午前9時始業の会社で、同時刻からリモート会議がありました。自宅で電源を入れた後、会議用ソフトが起動するまでに時間がかかり、9時に間に合いませんでした。そうしたら遅刻だと叱られました。パソコンにログインしたのは9時前です。納得できません。
出社勤務のとき、入室記録やタイムカード打刻が午前8時59分だったとしても遅刻になりません。質問者は9時前にパソコンにログインしているので、遅刻にならないと考えるのも分かります。
「始業時刻には業務を開始できる状態になければならない」として、駆け込みで出社する社員を叱る上司がいます。厳格に対処しすぎると、業務が開始できる状態にするための準備時間も労働だという話になります。
テレワークでの「出社時刻」に相当するものは
企業は、出社や退社の客観的記録を管理しなければなりません。客観的記録として、ビルや部屋への入退出記録、またはタイムカードを用いている企業が多いです。この記録と勤務表の時刻に大幅な乖離(かいり)があると、サービス残業を疑われます。例えば午後6時に業務終了と記載しているが、退社した客観的記録では7時だという場合です。
労働基準監督署の調査で指摘された企業は多いはずです。それをきっかけに、乖離した理由を書かせるようになった企業もあります。
さて、自宅でのテレワークの場合はどうでしょうか。パソコンの電源を入れた、会社サーバーにログインした、勤怠管理ソフトによる出社ボタンの押下、操作ログの最初や最後の時刻などが出社時刻に相当します。
出社/退社時刻と、業務開始/終了時刻は違います。質問者は、業務の開始や終了時刻を手入力して月末に勤務表を提出しているはずです。
この入力画面に客観的記録の時刻も表示していませんか?同一画面でなくても客観的記録が参照できるように運用している会社もあります。その時刻が、会社の始業時刻前ならば遅刻ではありません。
テレワークでログイン時刻が「出社時刻」だとすると、質問者は午前9時前に「出社」はしているわけです。「遅刻だ」という上司は間違っています。なお、出社勤務時、会社はログイン時刻より早い入室記録やタイムカードの時刻を優先しているはずです。
業務を開始するための準備で、早めに出社しなければならない。こういった準備時間は労働時間に該当する可能性が高いです。例えば、小規模の事業所における鍵当番、時間がかかるユニホームや安全靴への着替え、始業前の体操、掃除などです。
IT企業では上記の例のようなことは少ない一方、「スペックの低いパソコンで立ち上げに時間がかかる。その分が考慮されないのはおかしい」といった相談があります。パソコンのキー押下による出社記録の運用でよくある指摘です。厳格すぎると電源を入れたときから労働だという話になります。