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Q.IT企業のシステム部門で部長を務めています。管理主体で、プレーヤーではありません。前期の売り上げや利益予算を達成しました。夏のボーナスに期待していたところ、4万円しか増えていません。予算未達の部長のボーナスは下がらなかったと聞きました。予算達成をうるさく言われるのに、この程度の増額です。

 システム開発部門はスキルやノウハウを武器とする技術集団です。営業部門からの依頼で提案や同行支援をしていますが、営業部門ほどの売り上げ責任を追及されていないのかもしれません。質問者の上司も、システム部門だということで予算面のみでなく総合評価しているのでしょう。

 質問者は部門管理がメインのようです。現場に出ていないので顧客からの評価はありません。自身にとって予算数値が明確な評価指標となるのに、賞与が期待レベルでなかったという不満は分かります。

上司のさじかげんで賞与は変わる

 ボーナスは業績によって社員ごとに差をつけることが可能です。賞与の配分方式は割愛しますが、同じ職群や役職の社員間で金額差が大きい/小さいは企業の方針によって異なります。

 筆者の予想ですが、質問者が勤務する企業規模と役職から、部長のボーナスは平均200万円ぐらいでしょう。おおむね当たっていると思います。

 説明上、極端な例を紹介します。部長が2名のみで、その職群への賞与原資が400万円あったとします。差をつける場合で250万円と150万円、平等にしようという場合は200万円ずつになります。

 質問者の賞与は、管轄の執行役員や事業部長が決めていると思います。賞与を上下させることが可能な金額範囲で決めているわけです。

賞与額の高低は最低保障額が影響する

 賞与の最低額は保障してあげようというのが一般的です。例えば、全社員に基本給2.5カ月分ずつ支払える賞与原資があったとします。このうち基本給1.5カ月分は最低保障として支払うという運用です。これだと社員には最低でも1.5カ月分の賞与が支給され、残りの総額を役職や評価に応じて分配することになります。この最低保障額が大きくなるほど、賞与に差がつかなくなります。

 最低保障を除いた残りの金額を、業績分として社員に分配します。差をつける度合いは決定者の性格にもよります。平等志向の決定者は、各社員の業績評価や分配額は中央に分布します(中央化傾向)。差を好む決定者の場合は、分布は両端へと広がります。

 管理職以上になってくると、残業手当も休日出勤手当もありません。賞与が大幅に下がったら管理職の位置づけがおかしくなります。いわゆる「名ばかり管理職」の問題です。このあたりは、会社は考慮しながら運用していると思います。