Q.定年前のSEです。現役のプログラマーでもあります。顧客より「定年後どうするのか迷っているなら当社で働いてみないか」と声をかけてもらいました。定年後について、役員や部長さんとよく雑談していたからでしょう。情報システム部の方々との付き合いも20年になります。昔は、よく常駐して作業していました。条件もよく、現在の会社にこのまま再雇用され給与ダウンで働くよりいいです。この転職は問題にならないでしょうか。
定年までみっちり働いて退職した後の就職です。何も気にする必要はありません。同僚や後輩社員も喜んでくれると思います。この顧客との仲介役になってもらえば仕事がやりやすくなると期待しているかもしれません。
相手側から望まれて給与条件もよいとのこと。スキルや人柄を評価されているのでしょう。人生の岐路です。大事な場面なので、会社への気遣いは抜きにして考えるべきです。
就職や転職は本人の自由
転職活動は、自分の得意分野であるスキルやノウハウを武器にして行います。IT企業から同業のIT企業への転職は多いです。経験やスキルが評価される分野なら、他の業界でも同じです。
どんな仕事をするのか、本人が自由に選択できます。憲法で職業選択の自由や営業の自由が認められています。やりたい仕事で自ら起業する、会社員として勤めるなど本人の意思で行えます。希望する会社から不採用とされることもありますが、就職活動は自由です。
転職は日常茶飯事です。勤めている会社に「転職活動をしています」と言う人はいません。こっそり活動しているものです。余計な人間関係のトラブルになるのでそれで構いません。質問者は、退職後に再就職しようとしているのです。何も遠慮することはありません。自分を欲してくれている会社、自分の能力を認めてくれている会社に勤務するほうが幸せだと思います。しかも、お給料も下がらないということです。
筆者は、背中を押したくなります。再雇用でそのまま働くか、再就職かの分岐点です。どちらも選択できる質問者はすばらしいです。でも、こういったチャンスは何度もありません。後悔しないように選択してください。
顧客先への転職は業界ルール違反か?
システム開発において、自社のSEは発注元の大手IT企業や顧客先との関係が深くなります。打ち合わせで頻繁に通うようになり、大規模システムの開発では常駐で作業することが多くなります。
優秀なSEが顧客や取引先で認められ、転職というのは現実によくある話です。筆者も実際に、転職してきた社員や転職していった社員を多数見てきました。
転職する社員側の企業にとっては、優秀な人材が流出するので痛手です。「勧誘しないでね」というブレーキをかける条文が企業間の契約書(業務委託契約書や派遣契約書など)に書かれていることもあります。