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Q. 大手IT企業に勤めているエンジニアです。マネジャーとの面接が年3回あり、うち1回は年間目標の振り返り面接、2回は半期ごとの業績評価の面接です。その都度マネジャーから評価のフィードバックをしてもらいます。「優秀」だという評価をしていると聞きますが、本当だろうかと疑っています。同じ部門にいる同期のほうが、昇給や賞与の金額が少し多いからです。

 筆者はたくさんの企業で人事評価制度についてアドバイスしてきました。その経験から推測してお答えします。

 質問者が受けたのは、会社としてのフィードバックではなく、マネジャーによる一次評価結果のフィードバックではないでしょうか。つまり会社や事業部としての最終評価結果ではないということです。

最終結果は大きな組織単位での相対評価

 評価は通常、5段階の結果になります。すごく優秀という評価のSランクから順に、S/A/B/C/Dといったものです。数値で結果を表示する会社もあります。評価は、最終的に母集団となる組織の職位(例:中級職や初級職など)ごとに順位づけします。

 マネジャーが行った評価は、事業組織(部や事業部)で集めたときには偏っています。極端な例ですが、事業部に係長クラスのITエンジニアが合計50人いたとします。全員がS評価だとすると、結局のところ全員が平均点です。賞与や昇給幅を決めるときに評価分配すれば平均額になるからです。

 偏りをなくすために、会社は評価を分布します。マネジャーの部下数のレベルでは少ないので、分布まで考慮できません。分布可能な上位組織レベルで考慮します。具体的には、評価が分布するように目安となる人数比率を設定します。例えばSランクは10%、Aランクは20%といった分布比率です。分布比率によって最終的に評価を決定するので「相対評価」だということです。

 分布は目安なので、結果的に、その通りの人数比率にならないこともあります。それでもSランクについては比率を上回らないように人数を絞ります。Sランクは、翌年の昇格候補者として推薦する社員のことも考慮するからです。昇格条件が関わってくるランクなので人数もシビアに調整します。

 相対評価には欠点があります。偶然にも優秀なエンジニアが集中した組織があったとします。Sランクがつく人数は決まっているので、優秀なエンジニアの誰かはAランク以下に分布されてしまうのです。

 なお、相対評価をしていても、絶対的に「仕事が全くできない人」のランクを別枠で設ける場合があります。相対評価だけだと誰かが「悪い」評価にならざるを得ず、「仕事が全くできない人」だという根拠に乏しいからです。