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Q.システムエンジニアです。顧客の情報システム部や運用部門が行う運用テスト、そして本番フォローといったフェーズで私だけ顧客先に常駐することになりました。数カ月間、顧客のオフィスに毎日通うことになります。遠いため、普段の通勤より40分早く自宅を出ます。自社の最寄り駅を通過するルートで顧客先に行きます。通過する時刻を始業時間と考えれば早朝残業になると思うのですが、いかがでしょうか。

 いつもの通勤時刻より早く自宅を出るのはいやなものです。毎日なのでなおさらです。顧客先は通勤経路より先にあり、電車の窓から会社が入居するビルが見えるとのことです。自社通勤で下車する駅を通過するので、余計に不満を感じるのでしょう。通過したときから始業時刻だろうと思うのも分かります。

 システムエンジニアは、顧客先で作業をすることが多くあります。現状分析や要件定義フェーズなどでは、頻繁に打ち合わせします。顧客先は、大規模なシステム開発の場合、会議室などをプロジェクトルームとして確保してくれます。半ば常駐的に作業するほうが、お互いに効率的だといえます。

会社からの出発か否かで分かれる「移動」の扱い

 顧客先への移動には2種類あります。会社へ出社してからの移動と、質問のケースである直行です。出社後からの移動は労働時間となります。一方、顧客先に直行する場合は通勤時間になります。これは、法令的に間違った運用ではないので、多くの会社が直行を通勤時間としています。労働時間か通勤時間かは、会社からの出発か否かによるのです。

 直帰の場合も同じです。顧客先から自宅に帰る移動は、通勤時間です。会社に戻って仕事をすると、労働時間になります。

 社員のことを考えて、遠方への直行については労働時間として運用している会社が筆者の顧客にあります。顧客先が通勤経路とは逆方向の場合、自宅に近い場合などを含めて複数のケースごとにルールを設けています。管理はたいへんそうですが、社員にとっては喜ばしいことです。