Q.IT企業に勤めているSEです。社内用ドキュメントやプログラムの生産効率化ツールの開発と保守をしています。グループ作業ではなく、一人職人のような単独作業です。定年退職に臨み、退職後もフリーでプログラム開発をするつもりです。そこで、自分が作ったツール(プログラムや紹介資料など)を持って帰りたいです。プログラムの著作権は自分にあるので、見つかっても言い訳できるように思います。そうすると言っているわけではないですが、分からないので質問します。
退職するときは、私有物を除いて何も持たずに会社を去るのが原則です。会社からの貸与品はすべて返却します。プログラムも同じです。プログラムは物理的に目に見えず、電子的方法を使って持ち出しやすいと思います。しかし、会社の承諾なく内緒で持ち出すのは犯罪行為だとして、問題になる可能性があります。設計書や提案書などの資料も同じです。持ち出しはいけません。
このSE(質問者)が去った後、誰がこのツールを保守していくのでしょうか。一人職人とのことなので保守担当が不在で、使用できなくなっていくかもしれません。不安の残る会社です。いっそのこと、退職後はフリーランスSEとして、この会社とツールの保守契約をしてもいいのではと思いました。
会社で作ったプログラムの著作権は誰にある
質問者は、プログラムの著作権は自分にあるので、持ち出しが発覚しても言い訳ができると思っています。グループ作業ではなく、1人で開発と保守を行っているので、余計に自分のものだと認識してしまうのかもしれません。
プライベートで作ったプログラムの場合、著作権は自分にあるといえます。しかし今回は、職務上で作成したものです。著作権法15条は「職務上作成する著作物の著作者」について定めています。
1 法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。
2 法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。
簡単に言うと、著作権法15条の1及び2より、従業員が仕事上で作成した「資料」や「プログラム」の著作権者は会社だということです。就業規則にも同じように記載している会社があります。普段から社員に意識してほしいということです。
就業規則には、著作権のほか職務上の発明や考案に関わる特許権、実用新案権などの知的財産権についても会社に帰属すると明記されていることが多いです。特に技術系の会社では、当然だと思います。