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Q.システム規模や売り上げが大きいプロジェクトのリーダーを務めています。現在対応中の顧客ではなく、別の顧客先の取締役で情報システム部長だった人を相談役として部門に迎え入れることになりました。私の上司に当たる事業部長と部長が、役員から頼まれたとのことで、わけありのようです。プロジェクト進行の補佐的な相談役として居場所をつくってほしいと言われました。人件費は私が管轄しているプロジェクトから捻出します。会社や事業部の経費で雇ってほしいです。

 頼んできた役員が若い頃から、顧客先の元情報システム部長にお世話になっていたのでしょう。その恩返しといったところでしょうか。筆者は「わけあり」の雇用を何人も見てきました。長くても、数年のことだと思います。

経験や人脈を活用した「パイプ役」を期待

 元情報システム部長は、質問者と同じITエンジニアの経験者です。人柄や能力、あるいは人脈を通して、よき相談相手になってくれるかもしれません。

 自社の役員との付き合いがあるので、社内調整の潤滑油的なパイプ役を担ってくれる可能性が大いにあります。また、質問者のプロジェクトには無関係のようですが、会社の視点から出身企業とのつながりを期待することもあります。

 筆者の経験だと、大企業では顧客との調整より社内調整のほうが大変だと思います。社内は顧客先よりステークホルダーが多くなりがちで、そんな状況下での根回しは面倒です。顧客ではなく社内のことなのに効率化できないのかという気持ちが当時の筆者にはあり、余計に面倒くさいと感じていたのかもしれません。

 例えば新規ビジネスやパッケージ開発など投資案件の稟議(りんぎ)のためには根回しが必要です。間にいる上司たちを介さずに、あるいは上司と一緒に役員に説明したほうが手っ取り早いと思ったことが何度もあります。結局、最後は役員に呼ばれて同じ内容を説明することになるからです。

 上司によっては、どうでもよい説明資料の追加や訴求部分に関係のない修正を求めてきます。社内用は訴求ポイントさえ明確であれば、完成度は求め過ぎず適度でよいというのが筆者の考えです。総じて、皆が社内用資料の作成に手間をかけすぎるように思います。似たことが社内調整の過程でいろいろとあります。

 社内調整のパイプ役がいると、気苦労が少なくなることがあります。元情報システム部長を通じて、質問者は自社役員と濃い付き合いが始まる可能性もあります。それが転機となることがあるのです。前向きに考えてみてはいかがでしょうか。

「こんな社員はいらない」と摩擦に

 筆者が聞くのは、IT業界やITエンジニアの仕事をよく知らない人を、天下り的に迎え入れた話です。現場の仕事を知らない人に見当違いの指示をされると納得できずに摩擦が生じます。

 特に、ITが苦手な人の世話をするのは大変です。役員待遇であれば秘書やスタッフをつけることもあるので、メールや社内システムの設定や使い方を当然のように秘書やスタッフ任せにするということもあるようです。周りの人たちは、社内システムを活用するときに毎回同じことを聞かれる、あるいはシステム変更の都度面倒を見なければなりません。

 このような基本レベルのことは、勘を働かせればできるだろうと筆者は思ってしまいます。少なくとも社内マニュアルを読むなどして自ら対応できるスキルを保有しておいてほしいものです。IT企業に勤めるのなら、なおさらです。