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Q.数カ月間の育児休業を取ることにしたシステムエンジニア(男性)です。育児休業申出書(育児休業の申し込み)を提出した際に「復帰のときは同一部署への配属を前提に考えるが、他部門になる可能性がある」と人事部から説明を受けました。他部門への配属になると暗に言われているようで不安です。これはおかしくないでしょうか。

 会社は、社員の性別に関係なく育児休業取得後の復帰場所を、基本的に元の職場になるように配慮しなければなりません。復帰後にどうなるのか分からなければ、育児休業を取得することに不安になるからです。ただし、やむを得ない事情や理由による配置転換はあります。

やむを得ない理由による配置転換

 元の職場に復帰することができない事情は現実的に生じます。企業の経営状況は刻々と変化します。育児休業の取得時と復帰時では時間差があるので、組織改正により事情が異なってしまうことはあります。

 大きな改変では、会社そのものが他の会社に吸収合併された、元の職場(部門)が統廃合されてなくなったということもあり得ます。

 IT企業の場合、大きなプロジェクトでは顧客対応の専門組織が存在します。復帰するときにはプロジェクトが収束して、保守運用中心の組織に縮小しているかもしれません。

 元のシステム開発部門の人員が満杯状態である、あるいは部門予算を達成できない状況で人を抱えることができないという場合もあります。このように、他のシステム開発部門への配属を打診されても仕方がない事情が出てくるのです。

 実際に起こり得るので、復帰時に他部門への配置転換について「そんなことは聞いていない」というトラブルにならないように、念のため質問者へ説明したのだと考えられます。

 SEやプログラマーなどITエンジニアは、他のシステム開発部門に復帰したとしても同じ職種として働くことができます。育児休業の取得有無に関係なく、人事異動は日常的に起こるものです。復帰時の異動には、背景の事情や理由によって理解が必要です。

本人希望による配置転換もある

 一方、本人の希望による配置転換もあります。復帰に当たり、育児のために短時間勤務(6時間勤務など)を利用する社員も多いです。育児・介護休業法により、会社は、3歳未満の子どもを養育する社員の希望があれば、1日の所定労働時間を原則6時間までとしなければなりません。

 IT企業に務めるスタッフ(事務職)であれば、顧客に迷惑をかける心配はありません。社内対応の仕事であり、同僚たちも協力してくれます。具体的には、PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)の役割を担うグループへの異動希望、社内の情報システム部門や人事総務・経理部門などスタッフ職への異動希望などです。ほかには、顧客先に行かないパッケージの保守部門へ、希望により配属になった社員もいます。

 でも顧客対応は気を使うでしょう。営業職の場合、顧客への訪問時間は自己都合というわけにはいきません。昼間は忙しいからと、顧客から夕方のアポイントを指定された場合に、対応できなくなります。

 SEの場合、現状分析や要件定義など打ち合わせが昼からということは多々あります。自身の役割によっては、途中で退席したいなどとは言いづらい状況になります。

 元の職場が多忙なプロジェクトにかかわっている最中だという場合もあります。短時間勤務に向かない職場もあるので、自ら配置転換を希望する社員もいるのです。

 異動は会社が決定するものです。本人希望がすべてかなうわけではありませんが、会社は前向きに社員の異動希望へ耳を傾けたいものです。