Q.入社3年目になるシステムエンジニア(SE)です。プロジェクトチームの若手社員は自分を含め、会社の方針や上司の気遣いでテレワーク勤務が中心です。ですがこのままだと5年後、10年後の働く自分のイメージが湧かず、将来が不安になります。職場で優秀だといわれている先輩SEや上司の仕事ぶりが目に見えないからです。チームの若手同僚に話したところ「出社したいとか言わないでね、僕はテレワークがいいので」と念を押されました。皆、不安はないのでしょうか。
この数年、新型コロナウイルス禍によりテレワーク中心になっている職場が増えました。IT企業に勤める筆者の知人や友人に確認したところ、若手社員ほどテレワークを好む傾向にあると言います。テレワークは「都度申請での許可制」ですが、コロナ禍が落ち着くまで特別な事情がない限り「原則許可」が会社方針だということです。
若手社員はテレワーク中心なので上司や先輩の背中を見て仕事をしたことが少ないのではないでしょうか。テレワークの心地よさから「出社したくないので、コロナ禍が終わらないほうがよい」という問題発言をした若手SEもいました。
筆者はテレワークを否定するわけではありません。でも、スキルが確立していないSEにとっては、適度に出社することは必要だと思います。
会話力・折衝力はSEにとって重要
筆者の友人で大手IT企業に勤める事業部長は、「実践で学ぶ会話力や折衝力」といったものが育たないと嘆いていました。リモートでの打ち合わせが主体の状況で、若手社員のコミュニケーション力の低さが顕著だと実感しているそうです。用意されたプレゼンテーションは上手にできても、不意の質疑応答や突っ込みへの対応ができないということでした。相手の顔色や表情から察する力も欠如します。ですが本人たちにはその自覚がないようです。
こうした能力の獲得には、現場で経験を積むしかありません。会話における応用力やアドリブ力が育たないと、ビジネスの相手に対して折衝する能力が弱まることにつながります。
SEにとって、人との会話は重要スキルの1つです。特に、対面会話の応用力や駆け引きができるコミュニケーション力をつけておかなければ、将来的に不安です。
IT企業に限りませんが、会話力や折衝力は、テレワークではなく出社していた頃の先輩社員たちと、経験値に差がついているのかもしれません。
若手のSEは現場に行ったほうがよい
テレワークしか知らない若手社員は、決められた事項をこなすだけの「単なる作業者」になりがちです。同じ職場空間にいることで、「こんな苦労がある」「先輩のようなSEになりたい」といった気づきやイメージを描きやすくなります。
SEの場合、決められた事務処理のようなルーチンワークだけをやっていればいいわけではありません。経験の少ない今は単純作業(例、ドキュメント作成や整理)でよくても、いずれは上流工程の仕事もこなしていかないといけません。
テレワークだけでは、顧客先あるいは職場における上司や先輩が、実際に仕事をしているところは見えません。筆者は、単純作業だとしても、職場で先輩の仕事ぶりを見ながらのほうがよいと考えます。若手だからこそ先々の仕事内容を理解しておくべきです。5年10年、さらには20年先、こんな管理職やSEになりたいという理想のイメージを描けるかどうかで能力やスキルの伸びは違うはずです。