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Q.独裁者のようなプロジェクトマネジャー(課長)の下メンバー5人が働いています。「理不尽大王」と陰で名付けています。理不尽な指示でも皆、黙っています。反論すると声高に叱られるからです。先日、大王がある特定の時期を挙げ「1カ月間、有給休暇の申請は時季変更権にて禁止する」と発言しました。その頃はシステム移行で忙しくなるので、誰かに有給休暇を認めると不公平になるからとのことです。ちょうど家庭行事で有給休暇を取るつもりだったのでとても困っています。パワーハラスメント問題はさておいて、あらかじめ有給休暇の取得を1カ月間も禁止することができるのでしょうか。

 どこの会社にも、部下に有給休暇を与えてやっている、認めてやっているという感覚のマネジャーやリーダーが実在するので困ります。部下(社員)の有給休暇は上司のものだとでも考えているのでしょうか。この理不尽大王の発言は違法な指示であり、いただけません。

 マネジャーは、有給休暇の取得を禁止するといった命令口調ではなく、協力を求めるような表現にとどめるべきでした。もし仮に協力要請だったとしても、部下から有給休暇の申請があれば認めなければならないことを理解しておく必要があります。

 「時季変更権」を自由に使える権利だと思い込んでいる「勘違い管理職」は他の企業にもいます。以前「会社側(管理職)には時季変更権があるので、部下からの有給休暇申請をいつでも断れる」という大王のような発言をしたプロジェクトリーダーがいました。会社の管理職研修で教わったということでしたが、勘違いして自分の都合に寄せて理解したのでしょう。これも問題発言です。

有給休暇を取得する権利は法律で守られている

 労働基準法第39条に、「使用者は、有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない」とあります。有給休暇を取得する権利は、法律で守られているのです。現場では上司がパワー(権限)を持っているので、間違っていることでも押し切られてしまいます。質問者のプロジェクトマネジャーの下にいるチームメンバーは不幸です。

 とはいえ、理不尽なプロジェクトマネジャーが何を言っても、法律には勝てません。パワーハラスメント行為でもあり、その事実が明るみに出れば恥をかくことになります。

 質問者は、自分が休みたいときに有給休暇を申請して取得できます。ただし、会社で定められている取得ルールは守る必要があります。ルールは就業規則が定める有給休暇の条文のところに記載されているはずです。

 例えば、1日の有給休暇は前日までに申し出る、あるいは3日以上の有給休暇は2週間以上前までに申し出る、などのルールです。

「時季変更権」は簡単に使えない

 理不尽なプロジェクトマネジャーが言う、「時季変更権」とはどんなものでしょうか。上述の労働基準法第39条には、「請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる」という時季変更権が定められています。

 この時季変更権は簡単には使えません。理不尽大王のような上司は時季変更権を乱発するからです。部下の権利が脅かされることになります。

 時季変更権を行使するには「事業の正常な運営を妨げる場合」に限ります。変更権なので、有給休暇の申請に「拒否する」「断る」「禁止する」といった表現は使えません。理不尽大王はすでに法律違反の発言をしています。