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Q.中堅規模のシステム開発会社で役員を務めています。当社では現在、身元保証書を入社時に取っていませんが、社内の不正行為を抑止するために今後提出してもらうべきだと考えています。顧客情報の漏洩防止にもなるはずです。取引先となるIT企業に聞いたところ、身元保証書は提出させていないとのことでした。身元保証書を提出させている企業は少ないのでしょうか。

 一般的に、身元保証書を求めている企業はたくさんあると思います。筆者が顧問先や、就業規則のチェック・指導をした会社の状況から把握している限りでは、ほぼすべての会社が身元保証書を入社時に求めています。

 就業規則の最初のほうに採用に関する条文があります。そこに、会社が入社時に提出を求める書類が書かれています。

 提出書類には身元保証書、住民票記載事項の証明書、源泉徴収票(他に給与所得があった者)、年金手帳(すでに交付を受けている者)、雇用保険被保険者証(すでに交付を受けている者)、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書、健康保険被扶養者届、ほかにも誓約書や同意書の関係書類などいろいろあります。「身元保証書」という記載がある会社は、提出させていることになります。

不正行為はどこでも起こり得る

 出来心で、悪いことをしてしまう社員はいます。社内システムの運用において、チェックやコントロール機能が脆弱になるほど、個人的な不正行為が起こります。例えばカラ出張や残業、金銭の搾取や商品の盗難、情報漏洩などです。

 十分なチェックが行われていればこうした不正行為を防げたかもしれないと思うことがあります。もちろん、不正行為をする社員が一番悪いのですが、人やシステムのチェック/コントロール次第で犯罪的な行動に至らなかった場合もあるはずです。

 これらの不正行為について複数の会社から相談を受けてきました。どこの会社でも起こっている、あるいは起こり得ることです。

 カラ出張や休日出勤は、出張していないのに出張処理していた、休日出勤や残業をしていないのに勤怠時間として申告していたというものです。出張や休日出勤の承認ルールがあってないような状態である、残業についていい加減な管理をしているというような会社で起こりやすいといえます。会社に叱られて、自ら退職に至るケースもあり、退職金から返済した社員がいます。

 IT企業では、顧客先に納入するパソコンを水増し発注して、自身のものにしていた社員がいました。パソコンの横流しも、人とシステムの両面でのチェック機能が万全であれば防げたと思います。

 販売業では、棚や倉庫から商品がなくなることがあります。わざと目立つように監視カメラを設置したり、カメラの設置を周知したりすることで、盗難は防げたかもしれません。