Q.ITエンジニアです。部長がリーダーを兼務しているプロジェクトに入っています。部長の指示により、納品準備のため休日出勤したときのことです。普段は休日出勤しない部長が、「休日なのでバイクで立ち寄ったよ」とヘルメットを抱えて来ました。大型バイクでの出社です。私は、平日に自転車で出社したときに「会社の決まりを守って電車で来るように」と部長に叱られたことがあります。休日も同じだと思います。もやもやして無性に腹が立ちます。
部長は進捗確認と雑談をして1時間後、帰ったそうです。部下数人が部長のバイクを見るために出て行ったとのこと。その間も、他のメンバーは仕事をしていました。部下に休日出勤させて、部長は遊びで会社に来たという構図であり、質問者は余計に腹立たしく思ったようです。
会社が定める通勤手段での出社が原則
会社が認めていないバイクでの出社はいただけません。部長は自転車通勤をした質問者を叱っているのでなおさらです。
部長は、趣味の大型バイクに乗るのが目的で、プライベートでどこかに行く途中会社に立ち寄ったという意識だったのでしょう。休日出勤を部下に命じておいて、自分はバイクで一時的に立ち寄ったよと言われたら、部下は気分が良くないでしょう。自転車通勤を叱った過去があるのに、わざわざバイクで来たことを部下に分かるようにアピールする必要はありませんでした。
立ち寄っただけなら、慰労の声をかけた後に1人で帰ればよかったのです。部下の誰かがバイクを見たいと言ったのかもしれませんが、「また今度ね」と遠慮しなければなりません。他のメンバーは仕事をしているのです。その休日出勤を命じたのは部長です。部長は、行動や言動に気を付けるべきでした。
部長は、形式的だとしても、ほんの少しだけ進捗確認の仕事をしています。部下を指導し育成する立場の部長に「平日の自転車通勤はいけないが休日の大型バイクでの出社勤務はよい」とする考えは成り立ちません。自分に都合のよい解釈でバイクでの出社勤務を正当化してはいけません。
会社は一般的に、交通の不便な地域においては自動車やバイク、自転車といった交通用具による通勤を認めています。この場合、会社は交通事故のリスクを考慮します。許可申請のルールがあり、会社の許可がなければ認められません。筆者の顧問先に限らず、他の会社でもルールがあるはずです。
筆者が指導している会社では、通勤許可申請書のほかに自賠責保険証明書、任意保険、車検証、運転免許証のコピーや、交通ルールを順守するという誓約書の提出などを義務付けています。
自転車での通勤は、自転車保険と誓約書の提出が求められます。交通用具による通勤許可の申請時に、これらの書類に不備があれば認められません。
質問者の会社は、交通の便利な都会にあります。交通用具での通勤は認められていないので、公共交通機関で出社しなければなりません。
「迷惑をかけないのでよいだろう」という社員も
会社に内緒で、許可のない交通用具で通勤している社員はいるものです。交通事故によるリスクを説明しても、「自己責任で対応するので会社に迷惑をかけることはない」と開き直って弁明する社員もいます。
自転車通勤することで、通勤手当を浮かしていたという社員もいました。筆者の相談経験からよくあることです。叱られることは当然のこと、通勤手当の不正受給だとして懲戒処分になる場合があります。
会社に迷惑をかけていない、これが交通用具による通勤を許される理由にはなりません。平日に会社が認めていないバイク通勤をした結果、単独事故を起こして骨折で一時入院した社員もいます。後日「労災扱いにならないでしょうか」と会社に連絡してきました。同僚たちは、あきれていたようです。
平日の通勤時間帯の道路は、混雑していて危険です。事故を起こして加害者になる可能性があります。例えば自転車で歩道を走行して人とぶつかりトラブルになった社員がいます。一方、被害者にもなります。自転車やバイクは転倒がつきもので、自身がけがをする可能性も高いです。
渋滞が原因で遅刻もあり得ます。電車通勤のほうが安全で、ほとんどの場合、時間通りに出社できます。