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LINEとのシナジーが期待されるLINE Pay

 LINE社はLINEモバイルから早々に距離を置く一方で、同様に大きな赤字を出しているLINE Payに対しては、距離を置くどころかむしろ戦略事業として位置づけ、一層の強化を図っていく方針を示している。

 LINEモバイルとLINE Payの扱いが大きく分かれた理由の1つは、既存事業とのシナジーであろう。LINEモバイルはもともと、低価格やカウントフリーを武器としてスマートフォンの利用者を増やし、それをLINEの利用拡大につなげるべく開始したサービスでもある。それゆえスマートフォン上のサービスであるLINEとの間に、直接明確なシナジーが存在したわけではない。

 だがLINE Payは、LINEで獲得した顧客基盤を活用し、LINEのアプリ上で利用できる決済プラットフォームを提供することによって、顧客の決済需要を獲得するのが狙いであるとみられる。このため、LINEとのシナジー効果は非常に大きい。実際LINEは3月にLINEアプリ内に「ウォレット」タブを新設、LINE Payを使いやすくする仕組み作りに力を入れている。

2017年6月15日の「LINE CONFERENCE 2017」で、LINEにLINE Payを使いやすくする「ウォレット」タブの追加が明らかにされており、2018年3月にその実装がなされている。写真は同イベントより(筆者撮影)
2017年6月15日の「LINE CONFERENCE 2017」で、LINEにLINE Payを使いやすくする「ウォレット」タブの追加が明らかにされており、2018年3月にその実装がなされている。写真は同イベントより(筆者撮影)
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 将来の事業拡大という部分でも、LINEモバイルよりLINE Payのほうが将来に期待できるかもしれない。たとえLINEモバイルがMVNOとして大手の座を獲得できたとしても、国内の大手キャリアに対抗できる規模の契約数を獲得することは極めて困難だからだ。

 だがLINE Payが現在力を入れているQRコード決済は、順調に普及すれば、中国で大成功を収めている「WeChat Pay」のように、大きな決済プラットフォームとして台頭できる可能性がある。そうしたことから大幅な赤字が続いても、LINE Payは自社で継続するという判断をしたと言えそうだ。

 LINE社は新規事業の見切りが非常に早い会社であり、鳴り物入りで登場したEC(電子商取引)の「LINE MALL」は2年半余りで終了に至っている。それだけに今後も、LINEとのシナジーや将来性が見込みにくくなった事業は見切りをつけていく可能性が高い。今後の成長を期待して残したLINE Payや、長期的な取り組みとして力を入れているClovaなども、その例外とは言えないかもしれない。

■変更履歴
記事掲載当初、LINEモバイルの営業損失は約33億11万円としていましたが、約33億1100万円の誤りです。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2018/05/15 17:30]
佐野 正弘(さの まさひろ)
フリーライター
福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。