日本人の嗜好に寄せ過ぎず、国内でも人気を得るという難題
Tokyo Studioは野村氏をはじめ、グーグルの出身者を中心に、現在は6人態勢で企画・開発を進めている。だがポケモンGOクラスのオンラインゲームを開発するには、人材がまだ足りないというのも正直なところであろう。それゆえTokyo Studioでは、今後人材の確保を積極的に進めていくとしている。
ちなみにナイアンティックは現在、ゲームに限らないARコンテンツの開発を支援するプラットフォーム「Niantic Real World Platform」の開発も進めている。だがTokyo Studioでは現在のところ、基礎となる技術の開発ではなく、あくまでゲームを作ることを目標にしているとのことだ。
そのためエンジニアやデザイナーの中からは、ゲーム開発の経験者を求める声も聞かれた。だがナイアンティックは既存のゲームとは異なるゲームを提供し、成功を収めた企業だ。これまでのゲームと一線を画した内容により人気を得られた部分もある。それだけに、ゲーム開発の経験者に頼らず、ある意味「ゲームらしくないゲーム」を開発できる体制が求められるのではないかと、筆者は感じている。
加えて日本で人気のスマートフォンゲームは、多くが海外で成功を収めておらず、日本向けに特化し過ぎると海外で人気を得られにくい傾向にあるのも事実。Tokyo Studioは日本発としながらも海外に通用するタイトルを作ることを重視しているだけに、日本で人気を獲得しつつ、日本人の嗜好に寄せ過ぎないタイトルを作るという難題に取り組んでいく必要があるだろう。
Tokyo Studioはまだ立ち上がって間もないだけに、どこまで成果を出せるかは未知数だ。だがIngressやポケモンGOの取材を通じて、人を屋外に連れ出しコミュニケーションを活性化していくという同社のミッションが、着実に浸透しつつある様子は実感している。Tokyo Studioが開発するゲームも同じ目的を持つだけに、将来の成果に期待が高まるところだ。
フリーライター