2018年は携帯電話業界全体で中国メーカーの存在感が高まる一方、それが米中の摩擦に大きな影響を及ぼした1年だった。日本の動向を振り返ると、ネットワーク設備やスマートフォンだけでなく、アプリやサービスに関しても中国企業が大躍進を遂げている。2019年も中国発のアプリが日本を席巻することになるのだろうか。
アプリ分野でも高まる中国企業の存在感
2018年末に大きな注目を集めた出来事として挙げられるのが、日本政府が事実上、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)や中興通訊(ZTE)など、中国メーカーのネットワーク機器を政府調達から排除する方針を固めたと報道されたことだ。その背景には安全保障や貿易に関する米国と中国との摩擦があると言われているが、世界的に中国メーカーの存在感が高まっていることの裏返しであろう。
2018年の国内スマートフォン市場を振り返ると、中国メーカーの躍進が著しい1年だったと言える。特にファーウェイは、SIMロックフリースマートフォンの市場でトップシェアを揺るぎないものにした。さらに、より販売力が強い携帯電話事業者にもスマートフォン供給を実現し、中でもNTTドコモが独占販売した「HUAWEI P20 Pro」は、3つのカメラを搭載した先進性などで高い評価を受けている。
そうした中国企業の存在感は、ネットワーク設備やスマートフォンだけにとどまらない。実は2018年は日本のスマートフォンアプリの動向を振り返ると、中国発のアプリやサービスが大躍進を遂げた1年だったとも言える。
その象徴と言えるのが、中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)が提供する動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」。音楽に合わせた15秒の動画で手軽に楽しめることが、10代、20代の若い世代の心をつかんで日本でも大ブレイク、様々な流行を生み出す存在となっている。
そしてもう1つ、中国企業の躍進を象徴しているのが、網易(ネットイース、NetEase)の「荒野行動」である。荒野行動はスマートフォン向けのバトルロイヤル型TPS(三人称シューティングゲーム)。日本でいち早く提供されたことから人気となり、やはり若い世代から人気を獲得して急成長を遂げている。