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低価格と垂直統合型サービスで普及を促すトーンモバイル

 もう1つの動きは、カルチュア・コンビニエンス・クラブ傘下でMVNOによる通信事業を展開しているトーンモバイルだ。同社はスマートフォンの普及率が低い子供とシニア層、その家族にターゲットを絞り、ハードとサービスを一体で提供する垂直統合型の事業で、安心・安全を重視したサービスを提供している。

 同社は2019年2月14日にスマートフォン新機種「TONE e19」を発表しており、2019年3月1日より提供を開始している。こちらも1万9800円という低価格が特徴だ。通信速度は1Mbps未満と低速で、高速通信を利用するには別途チケットの購入が必要なものの、その分データ通信が使い放題で月額1000円という、安価な料金設定となっている。

トーンモバイルの新機種「TONE e19」。防水機能などは無いが2万円を切る低価格で、サポートや迷惑電話対策など、同社の充実した安心系サービスもセットで提供されるのが特徴だ。写真は2019年2月14日のトーンモバイル新製品・新サービス発表会より(筆者撮影)
トーンモバイルの新機種「TONE e19」。防水機能などは無いが2万円を切る低価格で、サポートや迷惑電話対策など、同社の充実した安心系サービスもセットで提供されるのが特徴だ。写真は2019年2月14日のトーンモバイル新製品・新サービス発表会より(筆者撮影)
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 しかもTONE e19は、シニア向けのシンプルなインターフェースが用意されるほか、離れて暮らす家族が遠隔で操作をサポートできる「あんしんサポート」や、詐欺電話を未然に防ぐ「あんしん電話」などを標準サービスとして用意。垂直統合型のサービスを提供していることを生かし、シニアがスマートフォンを安心して利用できる環境を整えている。

 現状での実績を考えれば、これまで見てきたような取り組みを各社が積極的に実施してもなお、シニアへのスマートフォンの普及が急速に進むとは考えにくいのが正直なところだ。だがハードとサービスの両面でシニアに対する魅力を高めていくことにより、徐々にではあるもののスマートフォンへの関心を高め、移行を進める要因となることは確かだろう。

 そして先にも触れた通り、スマートフォンは今後増加するであろうMaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)やドローンなど、テクノロジーが支える生活系サービスを利用するためのキーデバイスとして欠かせないものになると考えられる。さらに、地方を中心として少子高齢化による店舗の減少などで従来通りの日常生活が難しくなるシニアを救うための重要な鍵となる可能性も秘めている。シニアに向けたスマートフォンの普及は手を緩めることなく、一層加速していく必要があると筆者は感じている。

佐野 正弘(さの まさひろ)
フリーライター
福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手掛けた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手掛ける。