米アップル(Apple)が2019年3月25日(米国時間)に開いたスペシャルイベントは、ハードウエアの発表が一切なく、サービスのみが発表されるという異例の内容となった。そこから見えてくるアップルの狙いは何だろうか。
サービスのみとなった異例の発表会
米国時間の3月25日に発表会を実施したアップル。だがその内容は、従来と大きく違った異例なものであったことが注目を集めた。
発表会に先んじてハードウエアの新製品を発表したことがそもそも異例だった。2019年3月18日には「iPad Air」「iPad mini」といったタブレットの新製品を、2019年3月19日には「iMac」の新製品を、そして2019年3月20日には「AirPods」の新製品を発表。いずれのハードも前モデルと比べ劇的な変化があったわけではないとはいえ、通常であれば発表会にまとめて発表するハードウエアを、その前に相次いで発表するというのは今までにない出来事だ。
ハードの新製品を発表し切ったアップルが発表会で何を前面に打ち出したのかというと、サービスである。今回アップルが発表の主軸に据えたのは、「Apple News+」「Apple Card」「Apple Arcade」「Apple TV+」の4サービスだったのだ。
各サービスを簡単に見ていこう。Apple News+は300を超える雑誌や新聞などを、月額10ドルの定額で読むことができるというもの。既存のニュースサービス「Apple News」(日本未提供)を拡張したもので、日本でいうところの「dマガジン」など定額制の雑誌サービスに近い内容と言えるが、動画など紙にはないリッチな表現を取り入れているのが特徴のようだ。Apple News自体が日本で提供されていないためか、こちらも日本での提供は明らかにされていない。
Apple Cardはアップル独自のクレジットカードで、米ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)とアップルが手を組んで展開する。専用のチタン製カードが発行されるが、カード番号などが書かれておらず盗まれても悪用されにくいのが特徴となる。それを使って決済すると1%のキャッシュバックが受けられるほか、Apple Payに登録して利用すると2%、Apple Storeで利用する際は3%のキャッシュバックが受けられる。こちらもApple News+同様、日本での提供は明らかにされていない。