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普及に向け事業者の関係も変化

 そうした競争過熱を受ける形で、新たな動きを見せる企業も増えてきた。1つはPayPay社の動向である。PayPayは100億円を費やした大規模な顧客還元キャンペーンを2度実施したことで大きな話題をさらったが、競合他社も大規模キャンペーンを相次いで実施している。

 そこでさらなる競争激化に備えるべく、PayPay社は2019年5月8日に、新たにソフトバンクグループから460億円の出資を受けたことを発表。これによって資金面で強化されただけでなく、ソフトバンクグループ直下の企業となったことで、グループ内での重要性が一層高められたことにもなる。

PayPayの競争力強化のため、新たにソフトバンクグループが460億円を出資。これによってソフトバンクとヤフーの共同出資から、ソフトバンクグループ直下へと企業の位置付けも大きく変わっている。写真は2019年5月8日のソフトバンク決算説明会より(筆者撮影)
PayPayの競争力強化のため、新たにソフトバンクグループが460億円を出資。これによってソフトバンクとヤフーの共同出資から、ソフトバンクグループ直下へと企業の位置付けも大きく変わっている。写真は2019年5月8日のソフトバンク決算説明会より(筆者撮影)
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 もう1つ、ライバル会社同士が手を組むという新たな動きも見られた。それは2019年6月5日に実施された、楽天の決済事業を担う楽天ペイメントとJR東日本との提携だ。両社は提携によって、2020年春よりAndroid版の「楽天ペイ」アプリから「Suica」を発行できるようにするほか、アプリ内からSuicaにチャージすることで、楽天スーパーポイントがためられる仕組みも用意されるという。

 楽天ペイメントはSuica同様、FeliCaを用いた電子マネーサービスの「楽天Edy」を展開していることから、両社は競合関係にある。にもかかわらず、両社が提携に至ったのには、互いが持つ弱みを提携でカバーすることにより、自社サービスの利用を拡大する狙いがあるようだ。

 JR東日本側の狙いは、Suicaを交通以外にも活用してもらうための手段を増やすことだ。加えて、スマートフォンの中で直接チャージができる「モバイルSuica」の利用を拡大することで、切符の販売機や窓口の数を減らし、コスト削減を進めたい狙いもあるようだ。一方の楽天側は、楽天Edyではカバーしきれない公共交通での決済を、楽天ペイアプリのSuica対応でカバーしたい狙いがあるとしている。

JR東日本と楽天ペイメントは2019年6月5日に提携を発表、「楽天ペイ」のアプリからSuicaを発行できる仕組みを2020年春から提供するとしている。写真は同日に実施されたキャッシュレス決済事業連携に関する共同記者発表会より(筆者撮影)
JR東日本と楽天ペイメントは2019年6月5日に提携を発表、「楽天ペイ」のアプリからSuicaを発行できる仕組みを2020年春から提供するとしている。写真は同日に実施されたキャッシュレス決済事業連携に関する共同記者発表会より(筆者撮影)
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