画像から位置を測定するVPS(Visual Positioning Service)は、GPS(Global Positioning System)を補完してより正確な位置を取得する技術だ。米グーグル(Google)がナビゲーションに活用するなど、積極的な取り組みが進められている。AR(拡張現実)の利用拡大に向けても期待される技術だが、実際にVPSを活用していく上での課題はどこにあるのか。KDDIが沖縄県沖縄市で実施した取り組みから追っていこう。
KDDIが沖縄でVPSを活用したARコンテンツを披露
5G(第5世代移動通信システム)の商用サービス開始に向け、携帯電話各社が新技術を活用したサービスの開発を進めている。中でもAR技術の活用に力を入れているのがKDDIだ。実際同社と沖縄セルラーは、2019年11月23日に沖縄県沖縄市で開催された第27回「沖縄国際カーニバル」に合わせ、ARを活用した幾つかの展示を実施している。
その1つはスマートグラスを活用したARゲームの展示である。KDDIと提携している中国エンリアル(nreal)のスマートグラス「nreal light」を装着し、ゾンビを倒すARシューティングゲームが展示の内容だ。同時に2人のプレーヤーが同じ空間を共有し、協力プレーができるというのが大きな特徴となっている。KDDIによると眼鏡型のデバイスによるプレー型シューティングゲームの展開は日本初になるとのことだ。
そしてもう1つは、専用のアプリを搭載したスマートフォンを街並みにかざし、その地域の懐かしい写真を実空間に表示させ、歴史を振り返ることができる「AUGMENT(拡張)」体験というもの。そしてこちらの展示に用いられていたのが「VPS」という技術だ。
VPSとは、カメラの映像から向きや方位などを含む正確な位置を推測する技術である。GPSによる測位ではどうしても誤差が生じてしまうが、それにVPSを組み合わせることで、より正確に位置を測定できるようにする。オブジェクトを正確に表示するために正確な測位が必要なARでの活用が期待されている。
KDDIはこのVPSの活用に関して、衛星写真から3Dマップを作成し、それを基にしたVPSによる測位技術を持つ米スターフィー(Sturfee)と提携している。先の「AUGMENT」体験の展示でも、同社の技術を活用して測位することにより、正確なAR表現を実現できるようになっている。