ソフトバンクは2020年1月16日、アイドルグループ「AKB48」などを手掛けるAKSと、AKB48グループの劇場公演ライブを配信するサービスを開始すると発表した。配信には仮想現実(VR)プラットフォーム「LiVR(ライブイアール)」を利用する。長い間注目されながらも本格展開に結び付かないVRの動画配信だが、コアファンを持つアイドルというコンテンツとの結び付きで成功できるのだろうか。
独自のVRプラットフォームを使いアイドルのライブを配信
VRは、長きにわたって注目されてきたIT技術の1つであり、本連載でも幾度も動向を取り上げてきた。確かに最近では「Oculus Go」などスタンドアローンで利用できるVRデバイスが登場したことで、VRを利用しやすい環境自体は徐々に整いつつあるように見える。
しかしながら、コンシューマー向けのVR関連サービスがブレークし、多くの人が利用しているかというとそうではない。アダルトなど一部ジャンルで成功を収めた例はあるが、それ以外ではあまり明確な成功例がないというのが実情だ。
だがそれでもなお、VRを活用したコンテンツ配信に積極的に取り組む企業は多く存在している。その1社がソフトバンクだ。実際同社は2019年3月に、スマートフォン向けのVRプラットフォームであるLiVRを開始。プロ野球チームの福岡ソフトバンクホークスや、総合格闘技の「RIZIN」など、スポーツを中心としてVRでのライブ配信を実施してきた。
そして2020年1月16日、そのLiVRで配信する新たなコンテンツとして打ち出したのが、アイドルグループであるAKB48グループの劇場公演である。これは同グループを運営するAKSと連携して実施されるという。
AKB48グループは「会いに行けるアイドル」をコンセプトとしていることから、それぞれのグループが独自の劇場を持ってライブ公演を実施している。そこで公演されるライブをLiVRの有料チャンネルで配信することにより、チケットが取れないなど様々な理由で劇場に行けないときも、VRによる臨場感のあるライブを楽しめるようになるという。
劇場と協力し臨場感の出るカメラ配置を実現
当初このライブ配信を実施するのは、AKB48グループの劇場のうち「AKB48劇場」「SKE48劇場」「NGT48劇場」の3会場になるとのこと。サービス発表会が実施されたのは、そのうち東京・秋葉原にあるAKB48劇場である。同会場にはVR配信用として、観客席の前と左右の柱の3カ所にVRカメラが設置されていた。