フリマアプリ大手のメルカリは2020年2月20日に事業戦略発表会「Mercari Conference 2020」を開催した。撮影や梱包などができる店舗「メルカリステーション」や、商品を簡単に投函(とうかん)できる無人の「メルカリポスト」など、リアルの場でメルカリに商品を出品しやすい環境に力を入れる方針を打ち出した。狙いはどこにあるのだろうか。
出品のハードルを下げる取り組みを加速
ここ最近は決済サービスの「メルペイ」に関する動向が注目を集めているメルカリだが、同社の主力事業はあくまでスマートフォン向けフリマアプリの「メルカリ」である。同社はそのメルカリを中心とした今後の事業戦略について説明した。
同社の取締役メルカリジャパンCEOの田面木宏尚氏はメルカリをはじめとしたフリマアプリの浸透によって、フリマアプリの市場規模は2018年には6392億円にまで広がったと市場の伸びを説明。商品を購入・使用する際も後からフリマアプリで売ることを前提にするなど、人々の消費行動に変化を与えたと語る。
一方で田面木氏は不用品と呼ばれる物の推定価値は年間約7.6兆円に上っているが、約1.1兆円分は毎年廃棄処分されているという。約1.1兆円はフリマアプリの市場規模より大きい。そのため田面木氏はフリマアプリを拡大する余地はまだ大きいとし、同社が3610万人と推測する潜在的な出品顧客に対して、メルカリで不用品を出品してもらうことに力を入れていくとする。
実際に出品するとなると、いくつかのハードルがある。中でも大きいのが梱包や発送にかかる手間だ。梱包する時間を確保できなかったり、発送しようと思ってもメルカリの発送に対応したコンビニエンスストアなどが近所になかったりすることも少なくない。
スマートフォンを始めたばかりのシニア層などは、メルカリの始め方、使い方がよく分からないので利用しないというケースも考えられる。メルカリは今回のイベントで、それらの課題をより踏み込んで解決するための3つの取り組みを打ち出した。