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 楽天が2020年3月18日に始める予定だった送料無料。楽天市場の同じ店舗で3980円以上購入すると一部の例外を除き一律で送料を無料にするとしていた。だが、一部の出店者から強い反発を受け、公正取引委員会が緊急停止命令を申し立てるなど大きな逆風を受けた。

 このことが影響してか、楽天は3月6日に一律の送料無料を見送る方針を明らかにした。送料無料に「待った」がかかった格好だ。これほどまでに強い反発を受けた背景には、楽天市場の構造に何らかの要因がありそうだ。

送料無料化に出店者が反発、公正取引委員会も動く

 ここ最近、楽天を巡って大きな動きが相次いでいる。1つは、実質的な試験サービスが続いていた楽天モバイルの携帯電話事業について、2020年4月8日から本格的にサービスを開始すると発表したことだ。

 本格サービスに向けて発表された料金プラン「Rakuten UN-LIMIT(アンリミット)」は月額2980円で楽天モバイルの自営回線エリア内であればデータ通信が使い放題になる。そのほか300万人の契約者は1年間無料でサービスを利用できるなど、大きなインパクトを与えたがその評価は分かれているようだ。

 楽天モバイルの自前回線のエリアはまだ狭い。当初の狭さを補うために自営回線でカバーできないエリアはKDDI(au)のローミングを利用する。このローミングエリアについては、通信量が2ギガバイトを超えると毎秒128キロビットの低速モードになる。

 もう1つ注目されているのが、楽天の主力事業であるEコマースサービス「楽天市場」の送料無料化策に関しての動きだ。楽天は2019年7月31日から8月3日にかけて開いた自社イベント「Rakuten OPTIMISM 2019」で一部の例外を除き、同一店舗で3980円以上商品を購入した人の送料を一律無料にする方針を打ち出した。

楽天は2019年に開催した自社イベント「Rakuten OPTIMISM 2019」で送料無料化を発表した。楽天市場の同一店舗内で3980円以上購入した人の送料を無料にするとしたが、一部の店舗から大きな反発を招いた。写真は2019年7月31日の同イベントより
楽天は2019年に開催した自社イベント「Rakuten OPTIMISM 2019」で送料無料化を発表した。楽天市場の同一店舗内で3980円以上購入した人の送料を無料にするとしたが、一部の店舗から大きな反発を招いた。写真は2019年7月31日の同イベントより
(筆者撮影)
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 しかしその送料は基本的に店舗側が負担する。その上、この方針は楽天側が一方的に決めたとされる。送料を負担すると赤字になる可能性のある店舗も出てくると考えられ、そのためいくつかの店舗からこの施策に対して反発の声が上がった。公正取引委員会はその声を受ける形で、楽天の送料無料化策が「優越的地位の乱用」に当たり独占禁止法違反の可能性があるとして、調査を始めたのである。