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 同社の三木谷浩史会長兼社長は2020年2月13日の決算説明会で送料無料化策について「共通の送料無料ライン」から「共通の送料込みライン」に表現を変えた。賛同できずに楽天市場から他社への移転を希望する店舗に対して、出店料の払い戻しや外部販売チャネルの案内をするなどの措置を打ち出していた。

 だがそれでも送料無料化策の実現には強い意欲を示し、2020年3月18日から無料化策を始める予定について変更することはなかった。

楽天は2020年2月13日に開いた決算説明会から、送料無料化施策を「共通の送料込みライン」と呼ぶようになった
楽天は2020年2月13日に開いた決算説明会から、送料無料化施策を「共通の送料込みライン」と呼ぶようになった
(筆者撮影)
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 そうした楽天側の姿勢に公正取引委員会は懸念を示し、2020年2月28日に東京地方裁判所に対して緊急停止命令を申し立てた。調査を継続するため、送料無料化の実施を一時停止する措置を講じたのである。

アマゾン対抗のため楽天は実現に意欲

 2020年3月6日、楽天は「共通の送料込みライン」の一律導入を実質的に延期すると発表した。2020年3月18日に準備が整った店舗から送料無料化策を実施するとしており、当面は店舗側が対応を選べる形とした。

 また「共通の送料込みライン」の導入後一定期間、それを導入した店舗側に対して利益額と、料金の差額分を対象に支援金を支払う「安心サポートプログラム」を実施すると発表。送料負担を懸念する店舗への新たな支援策も打ち出した。

 楽天側が延期の理由としたのは公正取引委員会の緊急停止命令があったからではないという。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、店舗側の準備が整っていないことが理由だと説明していた。今回の措置はあくまで延期であり、いずれは全面的に送料無料化を実現したいという楽天側の意向に変わりはない様子がうかがえる。

 なお、こうした一連の動きの後、公正取引委員会は2020年3月10日、東京地方裁判所に申し立てていた緊急停止命令を取り下げた。

 なぜ楽天がそこまでして、送料無料化を実現したいのだろうか。ひとえにそれは米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)への対抗のためだ。実際三木谷会長兼社長はかねてより、さまざまな場所でライバルとなるアマゾン・ドット・コムへの対抗姿勢を明確にしている。

2020年2月13日の決算説明会に登壇した楽天の三木谷浩史会長兼社長。アマゾン・ドット・コムに対抗する上でも送料無料化策の必要性を強く訴えていた
2020年2月13日の決算説明会に登壇した楽天の三木谷浩史会長兼社長。アマゾン・ドット・コムに対抗する上でも送料無料化策の必要性を強く訴えていた
(筆者撮影)
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