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 LINEは2020年3月26日、フードデリバリーサービス「出前館」を運営する出前館に約300億円を出資すると発表した。出前館の筆頭株主だったLINEがここにきて出資比率を引き上げ、連携を強化した背景には、フードデリバリー事業を巡る競争激化に備える狙いがあるようだ。

大型出資で実質的にLINEの傘下に

 新型コロナウイルスの感染防止で外出を控える動きが続く中、人気となっているオンラインサービスの1つがフードデリバリーサービスだ。スマートフォンのアプリから注文するだけで、自宅などにさまざまな食べ物を配達してくれる。

 そうしたフードデリバリーサービスにおいて国内大手の一角を占めるのが、出前館が運営している「出前館」だ。筆頭株主はメッセンジャーアプリ大手のLINEである。LINEは2016年に出前館の前身である夢の街創造委員会に出資し、22%の株式を取得。出前館の基盤を生かし、LINEアプリ内でフードデリバリーサービスが利用できる「LINEデリマ」を展開している。

300億円の出資によって出前館は実質的にLINE傘下に。代表取締役社長にはLINEの執行役員O2OカンパニーCEOである藤井英雄氏(右)が就任。現在の社長である中村利江氏(左)は代表取締役会長となる予定だ。写真は2020年3月27日の出前館決算説明会より
300億円の出資によって出前館は実質的にLINE傘下に。代表取締役社長にはLINEの執行役員O2OカンパニーCEOである藤井英雄氏(右)が就任。現在の社長である中村利江氏(左)は代表取締役会長となる予定だ。写真は2020年3月27日の出前館決算説明会より
(筆者撮影)
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 そのLINEが2020年3月26日、出前館と新たな資本業務提携を結ぶと発表した。出前館はLINEから150億円、LINEとその親会社である韓国のネイバーが出資する「未来fund」から150億円と合わせて300億円の出資を受ける。LINEは35.87%、未来fundは25.05%の出前館の株式を保有する予定だという。

 この資本業務提携によって出前館は実質的にLINEの傘下に入ることになる。出前館の代表取締役社長にはLINEの藤井英雄執行役員O2OカンパニーCEOが就任予定で、LINEが出前館の経営に大きく関与しようとしているのは明らかだ。

 今回の提携では、「出前館」と「LINEデリマ」の2つのブランドを「出前館」に統合すると発表。さらにLINEが展開しているテークアウトサービス「LINEポケオ」についても出前館に事業を譲渡し、実質的にLINEグループ内の「食」に関連する事業を出前館が担う形になるようだ。

 しかしLINEは既に出前館の筆頭株主であり、両社は比較的良好な関係にあった。また出前館も、直近の業績を見ると投資先行で赤字ではあるものの、売上高は伸びており成長が続いている。そうした状況にもかかわらず、なぜLINEは出前館に、さらに深く関与する判断に至ったのだろうか。