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 世界的に新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、スマートフォンやその位置情報データなどを活用して感染拡大防止につなげようとする取り組みが急拡大している。だが「個」のデバイスであるスマートフォンの活用は、プライバシー侵害の懸念をもたらすなど難しい問題でもある。この課題をクリアしながら、感染拡大防止に向けた取り組みは進められるのだろうか。

スマホの位置情報から人の流れを把握

 世界的に感染拡大が続く新型コロナウイルス。2020年4月16日には日本でも緊急事態宣言の対象が全国に拡大され、我々の生活に非常に影響を与えている。

 そうした中、スマートフォンを新型コロナウイルスの感染拡大防止に役立てようとする動きが進みつつある。最近の動向から、そうした動きのいくつかを確認してみたい。

 国内におけるスマートフォンを活用した動きの代表例は、位置情報を活用して人の動きを把握することだ。政府は緊急事態宣言に際して、不要不急の外出を控え、人との接触を7割から8割減らすよう求めている。そうした要請を支援するため、多くの人が持っているスマートフォンの位置情報データを活用して人の流れを確認する取り組みが進められている。

 総務省は2020年3月31日、プラットフォーム事業者や移動体通信事業者に対して、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、人の移動を統計的に集計したデータを提供するよう要請した。これを受けていくつかの企業がデータを提供しているようだ。

 内閣官房は新型コロナウイルス感染症対策に関するWebサイトにおいて、2020年4月9日から東京など主要都市の「人流の減少率」を公開している。主要スポットで外出している人がどの程度減少したかを参照できるようになっているが、そのデータ提供元を見ると「東京主要駅周辺における人の流れの推移」はAgoop(東京・渋谷)、「7都府県の人口変動分析」はNTTドコモとなっている。

 NTTドコモが提供しているデータは「モバイル空間統計」のようだ。モバイル空間統計は同社の携帯電話ユーザーがどの基地局に接続しているかという基地局ベースの位置情報を活用し、その地域や時間ごとの人口分布を算出する統計情報である。既に企業や自治体などに提供され、マーケティングなどに活用されている実績がある。

NTTドコモの「モバイル空間統計」の仕組み。基地局ベースでユーザーの位置情報から、人口の分布や構成などを知ることができる統計情報である。2013年から企業や自治体などで活用されている
NTTドコモの「モバイル空間統計」の仕組み。基地局ベースでユーザーの位置情報から、人口の分布や構成などを知ることができる統計情報である。2013年から企業や自治体などで活用されている
(出所:NTTドコモ)
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