「フォートナイト」と「TikTok」。これら2つの人気アプリが利用できない、あるいは利用できなくなる可能性が出てきたことで大騒動が巻き起こっている。フォートナイトはアプリストアの手数料を巡る対立、TikTokは米国の制裁が騒動の引き金になっている。ゲームとSNSという異なるジャンルのアプリだが、双方に共通した要素もあり、今後のアプリやインターネットサービスに不透明感を与える要因にもなっている。
米中摩擦がTikTokに飛び火、米でのサービスに危機
本連載で少し前に、中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)の傘下企業が運営する動画投稿サービス「TikTok」と、米Epic Games(エピックゲームズ)の人気ゲーム「フォートナイト」の最新動向について取り上げた。だがその後、両サービスに関して大きな動きが相次いでおり、一般メディアでも取り上げられるなどして話題を呼んでいる。
TikTokに関しては米中対立の影響によって、かねてより米国政府がTikTokの利用禁止を打ち出すとの報道がなされていた。それが2020年8月6日に現実の形となった。米国政府はバイトダンスとその子会社に対し、45日後に米国企業との取引を禁止する大統領令を出した。米国企業に米国のTikTok事業を売却しなければ、米国でTikTokを提供できなくなってしまったわけだ。
その後8月14日に出された大統領令でその期限が90日に延長されたものの、米国政府のTikTokに対する姿勢は変わっていない。その間に米国企業への売却がなされなければサービスができなくなることに変わりはない。一方でバイトダンスは8月24日に大統領令の差し止めを求めて訴訟を起こし、対立する姿勢を見せているようだ。
売却を巡っては米Microsoft(マイクロソフト)との交渉が進められているとされており、その交渉を巡っては米Walmart(ウォルマート)が参加を表明したとされている。他にも米Oracle(オラクル)や米Twitter(ツイッター)などいくつかの企業が買収に名乗りを上げているとの報道も出ている。さらに2020年8月28日には中国の商務省がAI(人工知能)などの技術を輸出規制の対象とし、TikTokの技術もその対象になるとの報道もされている。現在もなお、先が見通せない流動的な状況が続いている。
ただしこれはあくまでもTikTokの米国などにおける事業に関する話であり、仮に米国でTikTokが禁止されても、日本の事業が禁止されるわけではない。ただ一連の報道を受ける形で日本でもTikTokの利用に対して懸念を示す人が増えているようで、そうした声を受けてかTikTokを活用している自治体などが、動画やチャンネルを非公開にするなどの措置を取り始めている。